研究課題/領域番号 |
19K13960
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
郭 芳 同志社大学, 社会学部, 助教 (70755389)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 介護サービス / 質評価 / 評価指標 |
研究実績の概要 |
2020年度の研究計画としては、日本介護事業者と中国民間介護事業者にアンケート調査を実施し、日本式介護サービスへの評価を行うことであった。新型コロナウイルス感染の拡大により、海外での調査を実施することができなかったため、昨年度は、2019年度に日本の介護施設のサービス利用者を対象に行った調査研究を行い、その結果を分析し論文投稿を行った。 その概要は、利用者本位の介護サービスのあり方に関する示唆を得るため、介護サービスの利用者の社会関係資本と生活満足度および人生満足度との関連を検討することを目的とした。検討した結果、介護サービス利用者の社会関係資本と満足度は有意な関連性が示された。家族、友人・知人、地域の人との交流などの社会関係資本が十分あると認識している利用者ほど、生活満足度および人生満足度が高いことが明らかとなった。これらから、利用者の社会関係を断ち切らない介護保険サービスの提供が求められること、地域に根差した施設づくりが重要であることを考察した。 上記の日本の介護施設のサービス利用者を対象に行ったアンケート調査を通して、利用者評価に用いる調査項目の妥当性と信頼性も検証された。本研究の実証調査部分にはサービス評価と利用者評価を予定している。今年度の調査研究にて妥当性が確認できた評価項目は、これから行う予定の中国に進出した日本介護事業者の利用者を対象とする利用者評価調査のアンケート項目設計に寄与する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、中国に進出した日本の介護事業者が提供している日本式介護サービスを評価し、現地サービスに比べて優れていていることを、日中比較の視点から実証的に明らかにすることを目的とする研究である。理論的研究は順調に進んでいるが、昨年度の現地調査の計画は新型コロナウイルス感染症問題の発生により(協力施設から延期要請)延期せざるを得なかったことになった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に実施する予定の調査については、新型コロナウイルス感染の拡大状況等を確認しながら検討していく。協力施設とも相談し、オンラインでの実施方法を探っていきたい。本来は今年度で研究をまとめ上げる予定であったが、次年度も視野に入れつつ、進行状況をみながらできる限り研究を進め研究成果の発表につなげていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染の拡大により、予定した現地調査の実施ができなかったため、予定経費よりも少なくなった。 新型コロナ禍の影響で、本研究の実証調査のスケジュールの見直しを行う必要がある。まず、個人で進められる研究を次年度は着実に行っていく。次に、調査協力施設と実施可能な調査方法を探り、対面以外の方法も含めて、データ収集方法の再検討を行う。今年度の繰り越し分をこのような調査研究の費用に充てる予定である。
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