最終年度では、中国の日本式介護施設で働く日本人責任者に「展開したい自立支援の日本式介護はどのようなサービスか」「このようなサービスの提供において大切にしていることは何か」についてインタビュー調査を行った。 その結果、日本人責任者は日本式介護の展開において、【中国の文化・習慣に合わせる】ことを意識し、日本の介護を〈押しつけない〉ようにしている。日本人責任者は、展開したい日本式介護の特徴として、「自分できることは自分で行う」を意味する【自立支援】と「利用者中心」の【相手本位】、利用者の【尊厳の尊重】が挙げられた。 【自立支援】は、その方の何かを支える、何かを実現するための手助けを意味し、その実現には、〈活動の実施〉、〈生活リハビリ〉が欠かせず、その目的には〈ADLの低下の防止〉と〈生きがい作り〉がある。利用者の身体的な支援だけでなく〈心の支援〉にもつながる。 【相手本位】は、家族ではなく、入居者本人のニーズを重視し、その人が自分らしい生活を築くことを支援する。〈アセスメント力〉は、相手本位のアプローチを実現する上で欠かせない要素であり、入居者の情報に基づき、状況やニーズを評価し、適切な支援計画を測定する。そのため、〈その人の想いと気持ち〉や〈その人の過去〉などの情報を収集するには、〈コミュニケーション〉が重要な手段である。 【尊厳の尊重】は入居者の〈意思の尊重〉と深く結びついている。入居者が自分の意思を尊重されることは、彼らの尊厳を保護し、価値を認めることである。〈社会的欲求・承認の欲求・自己実現〉などの欲求は施設入居者も例外ではなく、必要としている。入居者の【尊厳の尊重】は彼らの〈意思の尊重〉から始まり、彼らの欲求を満たすために重要である。〈接遇マナー〉は、これらの要素を補完し、入居者が満足できる環境を提供する。
|