研究課題/領域番号 |
19K13964
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研究機関 | 長崎国際大学 |
研究代表者 |
金澤 由佳 長崎国際大学, 人間社会学部, 講師 (10782815)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 強制的な医療 / 触法精神障害者 / 精神障害者 |
研究実績の概要 |
本研究は、精神障害者・触法精神障害者(以下「患者」)に対する強制的な医療および支援について検討するものである。日本において、強制的な医療は、「本人のため」に行われる一方で、長年<人権侵害>と言われながら遂行されてきた。現在は「退院後」も措置入院患者に対して支援を行う退院後支援計画が出されており、監視を懸念する新たな<人権侵害>の面をもつ分野であるといえよう。そこで、本研究は、患者に対する医療および支援について患者本人の「同意」や「意思」に着目し現行法上の全制度(精神保健福祉法、医療観察法)を対象として実証的研究を行い法制度を包括的に検討する。本研究の目的は、患者に対する医療・支援がなぜ行うことができるとされてきたのか、または現状どのように行われているのかを包括的に明らかにすることである。 本年度の計画は1)文献研究、2)フィールドおよび対象者の抽出であった。 1)については、予定通り行った。臨床・現場の観点からの文献研究を進め、とりわけ、制度的に新しい「退院後支援計画」については、資料および文献収集が必要であった。意思決定に関する海外の文献研究についても進めることができた。成果としては、本研究のテーマである入院形態に関する著書(共著)を出すことができた。また、文献研究に重心を置いていたことから、感染症法との比較を行い精神保健福祉法について学会発表を行った。 2)については行うことができなかったので来年度の課題である。しかし、入院に関するインタビュー調査(質的)を行うことができた。このインタビュー調査から、本研究調査の質問事項についての理解を深めることができたと思う。このインタービュー調査結果は、学会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由としては、本年度の計画に含まれていたフィールドおよび対象者の抽出を出来ていないためである。加えて、新型コロナウイルスの影響で学会発表も延期とされていたことから上記の自己評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
1)まずは、フィールドおよび対象者の抽出を行い、それに伴って所属機関の倫理審査を通す。その際は、新型コロナウイルスの影響で調査内容を多少変更(簡潔)にする必要があると思われる。状況によっては、本研究の延長を視野に入れている。 3)医療関係者、法律家との検討会を開催予定である。 2)2019年度に行った文献研究およびインタビュー調査については、現在論文執筆中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の予算を抑えられた理由は、文献研究に重点を置いた研究活動がメインとなっていたためである。また、謝金などの発生がなかったことも予算使用が最小限にとどまっていると考えられる。 来年度は、インタビュー調査や検討会を実施する予定であり、謝金や講師人件費が大幅に増加することが予想される。
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