研究課題/領域番号 |
19K13967
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
河村 諒 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 講師 (40578423)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | スピリチュアルケア / 宗教的な関わり / 利用者 / 介護職員 / 利用者家族 / 高齢者施設 |
研究実績の概要 |
高齢者施設の利用者におけるQOLの向上を図る上では、身体的・心理的・社会的側面に加え、スピリチュアルな側面への理解とケアが有益といえる。これまで終末期の事例や実践報告を中心に、スピリチュアルケアの方法の1つとして宗教的な関わりの可能性やニーズが指摘されている。また、宗教的な関わりが利用者のみならず介護職員や利用者家族にも影響を与えることが示唆されており、宗教的関わりについて実証的な知見の蓄積が望まれる。そこで、本研究は、施設の宗教的背景やスピリチュアルケアの体制の違いを踏まえた複数の施設の実態的データを扱い、宗教的な関わりの実践性及びその効果について実証的検討を行うことを目的としている。 本年度は、介護職員及び利用者家族を対象とする質問紙調査の項目の精査及び作成を行った。具体的には、主に「高齢者施設における宗教的な関わりについての評価」に関する質問項目についてである。申請時では本研究者らの先行研究から宗教的な関わりの利用者への影響を中心に検討する予定であったが、本年度先行研究を整理する中で、利用者への評価だけでなく介護職員や利用者家族への影響に対する評価といった視点も加える必要性が考えられた。また、スピリチュアルケアの実践が介護職員の宗教観や精神的健康に影響を与え、バーンアウトの予防につながるといった先行研究を踏まえ、介護職員や利用者家族への宗教的な関わりの影響に関しても質問項目として精査しなおした。 以上を踏まえ、利用者のみならず、介護職員や利用者家族への影響といった視点からも高齢者施設における宗教的な関わりの実践性や評価を検討する質問紙を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高齢者施設における宗教的な関わりの影響が利用者だけでなく介護職員や利用者家族にも影響を及ぼすという視点から、宗教的な関わりの評価について検討する価値があると考えた。 評価に関しては①「宗教的な関わりを実践している」高齢者施設と「宗教的な関わりを実践していない」高齢者施設との施設の特性の違い、②介護職員と利用者家族の視点による評価や影響の違い、について比較検討を行うため、質問紙調査を行う計画であった。本年度はより介護職員や利用者家族への影響が明確化された質問項目の整理に時間を要した。次年度以降は順調に研究を進められる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度作成した質問紙を用いて、介護職員及び利用者家族を対象に調査を実施し、宗教的な関わりの利用者への影響や評価、及び介護職員自身への影響や評価、利用者家族への影響や評価について比較を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は、①「宗教的な関わりを実践している」高齢者施設と「宗教的な関わりを実践していない」高齢者施設との施設の特性の違い、②介護職員と利用者家族の視点による評価や影響の違い、の2つのテーマに関する質問紙調査を考えている。①の両施設の介護職員及び利用者家族を対象に実施する質問紙調査費用で使用する。
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