研究課題/領域番号 |
19K13971
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
照山 絢子 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (10745590)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 依存症 / ゲーム / インターネット / ギャンブル / パチンコ |
研究実績の概要 |
2019年度は、ギャンブル依存とネットゲーム依存に関する既存文献の読み込みと整理に主軸を置いた。また同時に、両業界において依存症問題に取り組んでいる主な団体(パチンコについては全日本遊技事業協同組合連合会およびパチンコ・パチスロ産業21世紀会、ゲームについては一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会を中心とした4団体)に関係者とラポールを築き、インタビューおよび参与観察調査をおこなった。パチンコ業界に関しては依存問題を抱える当事者のためのコールセンター、「リサーチサポートネットワーク」を訪問した。また、ゲーム業界においてはこれまでの取り組みに関する意見交換会を開催する等の活動をおこなった。さらに、調査の成果をアウトプットしつつ意見交換を行う場として、「ゲーミングの未来を考える会」という研究会を、精神保健福祉士、ゲーム開発者、依存問題の専門家などとともに立ち上げ、これまでの調査の経過について講演会やワークショップをおこなうなど、積極的に情報発信活動をおこなった。依存問題の当事者に関しては、「ゲームをやめる会」という自助グループをはじめ、ギャンブラーズアノニマスなど12ステップ団体の集まりなどで参与観察調査をおこなった。また、2019年は、香川県におけるネットゲーム依存対策条例の是非が広くメディアなどで議論された年でもあったが、研究協力者を調査補助として雇用し、この一連の議論に関する情報の収集・整理を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画においては初年度である2019年度は既存文献を整理するとともに、自助グループを中心に調査を進める予定であったが、実際は自助グループ周辺の動きが想定していたよりもなく、十分なデータが得られないという懸念から、当初の予定では2年目以降に着手する予定であったゲーム・ギャンブル関連団体のほうを中心に調査を行うよう調整をした。こちらは上述の通り順調に進展しており、多くの成果がある一年であった。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り、2019年度の調査対象が変更になったことから、当初予定で描いていた、「2019年度:当事者 2020年度:医療関係者 2021年度:業界関係者」という調査の流れを調整し、2019年度に主に業界関係者と形成してきたラポールを活かして2020年度も引き続き業界関係に軸足を置きながら、医療関係者へとアクセスをしていく予定である。ただし、新型コロナウイルスの影響で年度のはじめはなかなか動きがとりづらいので、その間は文献調査なども引き続き行っていく。また、2021年度は医療関係者へのインタビュー調査と、当事者の自助グループなどでのフィールドワークを中心に研究を進める予定で、2022年度はこれらの調査を収束させつつ、成果発表へとシフトしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初想定していたよりも、フィールドワークのための長距離の移動や出張が少なく済んだことが主な理由である。この一因としては、特に重点的に調査ができる2-3月に、新型コロナウイルスの影響で遠方での調査が行えなかったことがあげられる。2020年度以降にこれを持ち越し、今後の調査計画を余裕をもって実施できるようにしたいと考えている。
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