研究課題/領域番号 |
19K13976
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
平田 祐太朗 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (80770817)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 発達障害児者 / 家族支援 / 相互交流 / 効果評価 |
研究実績の概要 |
発達障害児者の家族に対する支援の必要性が指摘されている。中でも現在当事者家族同士が相互に交流することを支える活動が注目されている。このような当事者家族同士が支え合うことは子育てにおける孤独感を緩和し,安心感を得ることができること,地域の実情に合った具体的な情報を得ることができるなど専門家が行うサポートでは十分に得ることのできない効果があると言われている。しかし,現在地域によって偏りはあるものの,十分に交流の機会があるとは言えず,心理的な障壁や負担感などから家族にとって他の家族とつながること容易ではないと考えられる。 以上の問題意識を受けて,本実践研究では,地域における発達障害児者の家族同士の相互交流を支援することを目指して実践,評価研究を積み重ねてきた。 具体的には臨床実践活動と併せて,①地域における家族支援に関する課題と家族の潜在的なニーズを踏まえたプログラムの開発,②地域におけるプログラム実践の意義や参加者の経験,効果に関する探索的検討,③プログラム参加者への効果に関する実証的検討の3点を行った。 現在までの実績として,親のさまざまな体験に関する心理教育,傾聴訓練,子ども理解・自己理解の振り返りのワーク,シェアリングなどを含むプログラムの立案,実施を行い,通算全4回分の活動記録を対象としたプロセス評価を行った。また,参加者157名の質的データを参照してプログラムの効果を測るための質問紙を作成した。 さらに,通算5回のプログラムを実施し,参加者18名から得られた介入前,後のPOMS-2やClient Satisfaction Scale,自作した質問紙等を用いて調査を行い,量的データを収集した。現在,得られたアウトカムに関する分析を行い,また今後実施を行う予定のプログラムの改善,追加で必要なデータの収集,研究結果のまとめを行っている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在,予定していた対象に対してプログラムを全9実施し,これまで収集していたデータと併せて計画通り調査を実施することができた。また,特にこれまでのプログラム実施に関するの評価を行っている段階であり,成果の一部に関しては国内外の学会にて発表を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は計画の中間年度であり,主に以下の研究の推進を行う予定である。 引き続きプログラムの実施を行いながら,過年度に実施したプログラムのアウトカムに関する分析,プログラムの参加者へのグループフォーカスインタビュー調査を行う予定である。 以上を通して開発したプログラムに関して質的・量的側面から検討を行うことで,発達障害児者の家族に対する相互交流支援のあり方について考察を行う予定である。また成果については,国際学会での発表および論文投稿を行い発信していく予定である。併せてプログラム実施を簡易に示したマニュアルの作成に着手する予定である。
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