研究課題/領域番号 |
19K13978
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
森 弥生 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (90816399)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 吃音 / ふくしま吃音懇話会 / 吃音啓発リーフレット / アクションリサーチ |
研究実績の概要 |
吃音を持つ者の悩みは、自殺を考えるほど深刻であるが理解されにくい。吃音は、従来の福祉の枠組みでは捉え切れておらず、一貫した支援制度から取りこぼされている。さらに東北地方にはセルフヘルプグループのみならず吃音の支援機関も少ない。本研究の目的は、吃音問題への取り組みが大きく遅れている福島県において、「吃音当事者および支援の実態と課題の把握」、「社会的認知の促進」、「支援システムの構築」をアクションリサーチにより実行することである。 2020年度は8月に第7回となる「ふくしま吃音懇話会」を開催、講演会および交流会を実施した。中学生以上の当事者、親、ことばの教室教諭、言語聴覚士合わせて20名以上が参加した。10月の日本吃音・流暢性障害学会第8回大会(on-line開催)において「ふくしま吃音懇話会」アンケート内容分析について発表したが、更なる考察を加え論文として作成中である。 また、吃音啓発のためのリーフレットを、10月の「国際吃音理解啓発の日」に合わせ、福島県内の関係機関へ配布した。リーフレットは他団体が作成した、全国で広く用いられているものを活用した。福島県の吃音相談機関情報の掲載を版元に依頼し、購入した。幼児期用、学齢期・思春期用の2種類を県内の教育委員会を通し、県内全ての小中学校、県管轄の幼保子ども園へ配布した。また県立高校へも配布した。各校、教諭らでの回覧・保管をお願いした。ことばの教室のある学校へは2種類それぞれ100部を配布した。県内の言語聴覚士のいる医療機関へも、県言語聴覚士会を通し、配布した。合計10000枚の配布を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までの福島県における当事者、支援者のニーズアセスメントと人的ネットワークの形成により、2020年度は「ふくしま吃音懇話会」の定例化、支援者の勉強会を開催する予定であったが、新型コロナ感染拡大のため、関係者が医療機関に所属することもあり、対面での活動が思うように進められなかった。しかし、学会等のon-line開催により全国の支援者、親の会と繋がりを持つなど、今後の福島における活動のための手がかりを得ることができた。 吃音啓発リーフレットの配布は、当初考えていた以上に労力を要したが、関係機関の協力によりスムーズに進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ感染拡大防止のため、対面での「ふくしま吃音懇話会」開催は難しいことが考えられる。今年度は「ふくしま吃音懇話会」のホームページの充実、幼保子ども園への吃音啓発リーフレット配布を主軸に行う。リーフレット配布と同時にアンケートの配布、回答の分析をする事で、効果的な吃音啓発の評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染拡大防止のため、学会の参加がon-lineとなり旅費の支出がなかったこと、同様の理由で「ふくしま吃音懇話会」の開催が計画通りに実行できなかったことによる。今年度のリーフレットの作成、配布に要する郵送費・人件費に充てる予定である。
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