研究課題
若手研究
本研究の目的は、地方自治体レベルの生活保護の運用実態を可視化し、自治体の行政水準の差異と影響を検証することにある。そのため、(1)生活保護の国・自治体の行政資料を収集するための調査手法を開発し、(2)収集した資料の一部をもとに調査研究を行なった。具体的な成果として、(3)福祉事務所の人員体制の実態(非正規化の進展)と地域間格差(正規CWの充足率と非正規化の類型化)を明らかにし、(4)一部の自治体の就労支援事業において民営化とインセンティブ化が進展していることがわかった。
社会福祉学
生活保護は国家責任による国民の生存権を具現化する制度枠組みであるが、実際の運用場面においては地方格差が大きいことが指摘されている。この運用実態を把握するためには実施機関である地方自治体単位の資料データが必要となるが、現状では公開されている利用可能なデータがほぼ存在せず、研究上の大きな障壁となっている。本研究とその成果はこの障壁を打ち破る調査手法を確立する端緒となるものであり、生活保護研究の進展と現場での運用改善に大きな意義をもつ。