研究課題/領域番号 |
19K13981
|
研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
櫻井 潤 國學院大學, 経済学部, 准教授 (10382508)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | オバマケア / メディケイド / ウェイバー / 連邦補助金 / 州財政 / 政府間関係 / テキサス / アメリカ |
研究実績の概要 |
2021年度の研究成果は以下の通りである。 第一に、アメリカにおいて2010年患者保護アフォーダブルケア法(「オバマケア」)成立後に州政府が持続可能な財政システムの構築を目指して医療扶助のメディケイドの改革を実施するに至るまでの経緯を、連邦補助金を獲得する州財政の枠組みおよびその正当化の論理が形成される過程に焦点を当てて、テキサス州の事例に即して実証的に明らかにした。研究成果として、「テキサス州のポスト・オバマケアのメディケイド改革における州財政の論理:『負担に見合う』連邦補助金を用いた医療ニーズへの対応」と題する学術論文を執筆・投稿した(査読済・掲載決定・2022年7月刊行予定) 第二に、アメリカにおける2010年患者保護アフォーダブルケア法(オバマケア)成立後の州医療保障政策の展開過程を、テキサス州における医療扶助のメディケイド改革をめぐる州・連邦政府間関係の検討を通して実証的に明らかにした。研究成果として、「テキサス州のメディケイド1115ウェイバーをめぐる州・連邦政府間関係の動態:連邦政策の動向を見据えた州政策の展開」と題する学術論文を執筆・投稿した(査読済・掲載決定・2022年10月刊行予定) 第三に、次年度に実施する予定のテキサス州およびワシントンD.C.における現地調査の準備として、国内で入手可能な文献や資料等の収集、文献検討および統計分析、海外の研究協力者との連絡調整を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大が続く状況の下で、研究期間の1年間の延長を申請した。 2021年度には、研究の手順や方法を可能な限り工夫し、これまでに入手した文献や資料等を用いた研究を行った。その結果、2本の学術論文を研究成果としてまとめることができた。 しかし、2020年度に続いて海外への渡航が著しく制限されるとともに、海外の医療機関に所属している研究協力者の職場において感染症対策などの業務が過重になったことから聞き取り調査を中心に研究への協力体制に大きな制約がかかり、2021年度に実施する予定であったテキサス州における現地調査を2022年度の実施に延期せざるを得なくなった。それに加え、現地調査の際に行う予定であった資料収集も行うことができず、海外で入手可能な文献や資料等を用いた研究を行うことができなかった。 これらのことから、2021年度の研究は当初の研究計画よりもやや遅れていると言わざるを得ない状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度には、引き続き新型コロナウィルス感染状況の推移を見守りながら、可能であればテキサス州およびワシントンD.C,での現地調査を各1回行う計画である。とはいえ、2021年度に続いてコロナウィルス感染拡大に伴う研究活動への制約が少なからず生じることが考えられ、現地調査を実施することができた場合にも、調査内容や調査日程の変更が必要となる可能性が高い。この点をふまえると、2022年度にも当初の計画通りに研究をまとめることは困難になる可能性があり、その場合には研究期間の再延長を申請せざるを得ない状況である。調査内容・研究計画・研究期間の変更を視野に入れながら、実行可能な研究を進める所存である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2021年度には、新型コロナウィルス感染拡大が続いたことに伴い、当初に予定していた現地調査(2回)およびそれと関連する文献や資料収集をほとんど行うことができなかった。 次年度使用額は、これらの研究活動を行うために必要な、現地調査に要する経費、文献や資料の収集に要する経費、資料整理アルバイトの支出に充当したい。
|