2019年度にA県B市の小学校・中学校・高校の教職員(教員・養護教諭・スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー)を対象に実施したアンケート調査やインタビュー調査の結果をまとめ、日本社会福祉学会秋季大会にて発表を行い、社会福祉学にて研究成果を公表した。学校生活上のきょうだい児に対する支援の必要性については、個別性があることを前提に、きょうだい児本人や慢性疾患や障害のある兄弟姉妹、親などに関連することや、きょうだい児の学校への適応状況など様々な要因が重なりあって生じることが考えられる。これらの要因によって学校生活への影響に発展する可能性やきょうだい児が担う家庭内役割やその影響が可視化されにくい場合に支援の必要性が見過ごされてしまう可能性があることが本研究調査から示唆されたことから、きょうだい児に対してもいじめや不登校などの子どもを取り巻く様々な問題と同様に予防的に対応する必要性を示した。また、支援システムの中に学校を組織として位置づけ、支援体制を整備する必要性について言及した。 研究代表者を中心に社会福祉学、小児看護学の専門家やきょうだい支援実践者らと協議を行い、これまでに得られた知見を踏まえ、学校教育現場におけるきょうだい児支援の具体的手法の検討を行なった。教員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の学校専門職それぞれの役割と機能的な限界を踏まえつつ、前述の通り支援の必要性が見過ごされてしまうことのないよう、日常的にきょうだい児にかかわることのできる教職員の感性を高めることや、きょうだい児に対する予防的な支援の観点と具体的な対応を理解することのできるツールの開発について検討した。
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