研究課題/領域番号 |
19K13984
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研究機関 | 十文字学園女子大学 |
研究代表者 |
二瓶 さやか 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 准教授 (60453346)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 多文化比較 / 多文化理解 / ソーシャルスキル / 多文化共生 / 介護実践論 |
研究実績の概要 |
超高齢社会を迎えたわが国において、「介護」の担い手は、外国人介護福祉士の受け入れなど、従来の『家庭内介護』から『移民の労働』を含めた形へと大きく変容している。また、介護分野のグローバル化のもと国境を越え、国籍・文化・言語等が異なる住民等を包摂する多文化共生の視点のもとで推進する必要性が示されている。こうしたことを背景として、わが国において多文化共生に根差した介護を実践・実現するための「多文化共生介護」の実践概念を理論化し、介護の現場に依拠した、かつ新たな介護概念である多文化共生介護実践理論の構築を目指すことを本研究の目的としている。 2020年度は2019年度に実施した外国人介護職が従事する介護福祉施設におけるフィールド調査(プレ調査)を基盤として、本研究の核となる理論構築のために海外における介護福祉施設を対象とした調査を予定していたが、社会的状況よりインタビュー調査の実施が困難であった。そのため研究計画の修正を図り、2019年度に実施したフィールド調査から示唆された結果について、文献研究を研究の主な手法として理論構築の再考に取り組んだ。 結果、本研究の目的としている多文化共生における介護実践のあり方について、本研究のキーワードとして挙げている概念について先行研究・文献研究を用いて再考することで、理論構築の枠組みを再確認するとことができた。また、研究を遂行する過程において、多文化の外国人の視点も包含した介護実践の必要性を提言すると共に、実践現場での汎用を目指すにあたって必要となる、ソーシャルスキルの必要性といった新たな視座を得ることができた。 当該年度の研究成果として関連する学会への研究論文として報告するに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
該当年度は本研究の核となる多文化共生介護実践論の構築に向けて、海外の高齢者施設におけるフィールド調査並びに該当前年度に実施した国内における介護福祉施設を対象として本調査を実施する予定であった。 しかしながら、社会的状況により海外への渡航、国内の介護福祉施設への訪問調査等の実施が困難となった。また研究手法を検討・変更しオンラインを活用した方法も試みたが、本調査として信憑性のある結果を得ることは困難であった。よって、進捗が遅れている状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
該当前年度取り組んだフィールド調査を基盤として当該年度継続して取り組んだ基礎研究で得られた結果をもとに、本研究の目的としている言語のみに依存しない「異文化間の介護実践」の理論構築を実証研究によって取り組む。 当初予定していた、海外におけるフィールド調査(高齢者施設への訪問調査)は、介護を必要とする方が生活する場を対象としており、調査対象をしている施設側のリスク管理の観点からも実施が困難であることが予想される。 そのため、海外での調査等が実施困難な場合には、フィールド調査の対象を国内に変更し進めていく。また当初予定していた海外における調査の代替は、関連する文献等で情報を収集・分析することで対応していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
国外・国内における介護福祉施設を対象としたフィールド調査が社会的状況から実施困難となったため、旅費・フィールド調査に伴うその他の経費が未使用となった。 未使用となった研究計画は2021年度に実施を予定している。社会的状況等により2021年度の研究計画の修正が必要となる際には、研究手法を変更し必要な経費を使用していく。
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