本研究の目的は,「児童自立支援施設職員」および「児童相談所職員」を対象に,自身がかかわった措置変更事例についてのインタビュー調査を行い,多角的視点から措置変更について検証することであった。さらには,立場による捉え方の相違点,および共通点について明らかにしていくことも本研究の目的であった。しかしながら,コロナ禍の影響もあり,「児童自立支援施設職員」,「児童相談所職員」とのインタビュー調査実施に関して,連絡・調整が計画通り進められない事態が生じた。そこで本研究では,調査の対象を「児童養護施設の施設長」に広げ,日々入所児童と寝食をともにしながら実際の支援を行っている児童養護施設の直接処遇職員とは異なる立場である児童養護施設の管理者としての視点から,措置変更事例についてどのように捉えているかについて,また措置変更先の施設とのやり取りを実施する際に大切にしている姿勢や具体的な工夫等について,インタビュー調査を実施することとした。インタビュー調査において得られたデータをもとに質的に分析を行うことで,児童養護施設の施設長からみた児童の措置変更プロセスについて明らかにするとともに,直接児童を担当する直接処遇職員ではなく,施設を管理する立場である施設長独自の視点やかかわりの工夫,施設長ならではの思いや葛藤,円滑な施設移行に向けての取り組みや工夫等を明らかにすることを目的とした。調査の結果から,措置変更という判断に至ったとしても現場の職員の取り組みについて理解を示すこと,担当寮の職員チームとして,また施設全体として継続支援が可能かを判断する必要があること,全体を俯瞰してみる視点が大切であること等が明らかとなった。
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