研究課題/領域番号 |
19K13988
|
研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
米澤 旦 明治学院大学, 社会学部, 教授 (60711926)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 新制度派組織論 / 労働統合型社会的企業 / 非営利組織 / 就労支援 / ハイブリッド組織 / ガバナンス |
研究実績の概要 |
2021年度では以下の五点に関して、研究を進展させることができた。 第一に、本研究の主題のひとつである新制度派組織論の理論的検討である。新制度派組織論の社会福祉供給にどのように応用することができるか、その意義と課題について検討した。その成果は、一般書の形で成果報告ができた。第二に福祉社会学における「就労と福祉の接続」が持つ意義についての検討である。その結果、人的資本の蓄積と就労支援の関連性の検討が福祉社会学のなかで重要な主題であることを指摘した。第三に、前年度に引き続き、障害者就労支援事業所での参与観察とインタビュー調査を実施した。対象とする団体は、就労支援分野におけるICT導入を先駆的に進めている団体であり、就労支援事業における合理性の重なりと葛藤の局面を検討した。ここでは、専門職的合理性と市場的合理性に加えて「技術的な合理性」が重要な要素として表れていることが明らかになりつつある。これは、本研究で注目する就労支援組織におけるハイブリッド組織の現代的な現れの一つであると考えられる。第四に、就労支援組織を含めた社会福祉サービス組織と政府と関連性を検討するために、公式統計をもとに、社会福祉のサービス供給組織の法人形態の多元化の様態を検討した。この成果は2022年度中に論文として発表予定である。第五に、就労支援組織の欧州における制度化のひとつの形であるソーシャルファームについての比較研究を行った。特に欧州における「包摂的ガバナンス」が社会的企業の制度設計ににおいて、重要な意味を占めることを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度はこれまでの研究の遅れを取り戻す形で、研究発表や調査実施を行うことができたと考えている。 感染状況も踏まえて、調査計画は変更した(質問紙調査ではなく公式統計を利用する、参与観察やインタビューをオンラインで実施するなど)が、ある程度、研究計画で設定した主題に接近することが可能になった。
|
今後の研究の推進方策 |
感染状況を注視しつつ、既存の研究の成果報告および継続的な調査実施を行う。特に研究成果のとりまとめにあたり、就労支援組織における合理性の葛藤および、社会サービス提供組織の多元化の検討に注力する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、感染状況の対応のための調査実施の遅れと調査方法の変更による。特に対面調査を想定していた旅費等の費用に関して未使用分が生じている。こららの未使用分予算は、新年度での調査に使用する予定である。
|