研究課題/領域番号 |
19K14001
|
研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
金 圓景 明治学院大学, 社会学部, 准教授 (40635182)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 認知症 / 意思決定支援 / ケア / 家族 |
研究実績の概要 |
国内における認知症の人の意思決定支援をめぐる動向を検討し、まとめている(金圓景2021)。認知症の人の意思決定を支える関連ガイドラインやツールを総合的に検討し、認知症の人に焦点を当てたものと、認知症の人に焦点を当てたわけではないが、認知機能の低下がみられた場合にも活用できるガイドラインやツールを整理することができた。これらの検討結果、認知症の人の意思決定を支えるガイドラインやツールは、支援が必要な場面や活用主体、認知症のステージに応じて活用できるものに違いがあること、また認知症の人と家族がこれらを適時・適切に活用するためには充分な情報提供が求められていることなどが示唆された。 また、A地域で認知症の人や家族と関わることが多い地域住民(NPO法人関係者)を対象に、認知症ケアにおいて必要な意思決定支援について個別インタビュー調査(5名)を実施した。その後、調査結果を踏まえて、地域で求められる認知症ケアにおける意思決定支援プログラムについて個別インタビュー調査対象者を対象に、フォーカスグループインタビューを実施した。その結果、A地域で暮らす認知症の人と家族の意思決定を支えるためには、認知症に関する正しい理解・知識を提供する機会や意思決定が必要な場面を想定した事例検討が必要であること、その他にも関連制度(日常生活自立支援事業や成年後見制度など)について伝える企画が必要であることが把握できた。その背景には、A地域に認知症の人と家族を対象にした適切な医療・介護・福祉サービスに関する情報提供が充分ではないこと、適切な相談相手・相談先の情報が充分ではないことがあることが検討された。今後、A地域で暮らす認知症の人と家族の意思決定を支えるために必要なこととして、地域内の市民後見人の養成、フォロー体制構築、良質な後見人の充分な確保、日常生活支援体制の構築があげられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で認知症の人と家族への調査が難しく、予定通りの調査が実施できなかったために研究計画が全体的にやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、A地域住民を対象に、意思決定支援ツールやガイドラインの使い方について説明するプログラムを展開する予定である。その後、適時・適切に意思決定プロセス人参加できるためにどのような支援が必要か検討する。 また、認知症の人を対象に、意思決定を進めるうえで困っていることについてインタビュー調査を行う。その結果を踏まえて、認知症の人が意思決定を進める上でどのような支援が必要か検討する。次に、家族が認知症の人の意思決定を支える際に困っていることについてインタビュー調査を通して明らかにした後、どのような支援が必要か検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で予定通りの現地調査及び学会報告などが難しく、旅費や人件費が余ったために次年度使用額が生じた。今後、状況をみながら可能な範囲での調査を進める予定である。
|