研究課題/領域番号 |
19K14005
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研究機関 | 一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会(医療経済研究機構(研究部)) |
研究代表者 |
土屋 瑠見子 一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会(医療経済研究機構(研究部)), 研究部, 研究員 (20726525)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 住環境 / 高齢者 / 評価指標 / 国際生活機能分類(ICF) / 残存能力 |
研究実績の概要 |
要介護高齢者の生活の質を維持するには、本人の望む限り残存能力を最大化し、できる限り自律的に生活することが望まれる。しかし、多様な障がいをもつ要介護高齢者において、どのような住環境が残存能力を最大化するのかは明らかではない。本研究では、要介護高齢者の残存能力を、障害特性と住環境との組み合わせから評価できる住環境評価指標を日本で活用するための妥当性検証を行っている。 2020年度は、【研究2】住環境評価指標項目案の国際生活機能分類に基づく類型化を行った。具体的には、要介護高齢者の生活機能と環境因子の両方を捉え得る概念として国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health:ICF)を用い、住環境評価指標項目案を類型化して、基準関連妥当性の検証を実施した。今年度はBailey(1973)を参考に、分類のルール化を行いながら、ICFの心身機能・構造の項目と環境因子とのマトリックス作成し、両方に該当する箇所に住環境評価指標項目案を配置し、開発中の評価指標項目がICF項目のどのような側面をカバーしているのかを検討している。2021年2月2日から産前休暇により研究を中断しているため、今後、2021年9月1日に研究再開後に類型化作業をまとめ、対外発表できる形にまとめ上げることを予定している。 また、今年度の対外発表としては、2019年度に実施したアジアにおける住環境評価指標の科学的検証方法のレビュー研究の結果を、日本公衆衛生学会においてポスター発表の一部として発表すると共に、同内容が国際英文誌Journal of Aging and Environmentに受理され、オープンアクセス化して発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実施計画に従って研究を遂行しているが、産前・産後休暇および育児休業の取得のため、2021年2月から研究中断と1年間の研究期間の延長を申請・受理されている。そのため、2021年度に終了予定であった【研究2】を2021年9月に研究再開後に継続して実施することを予定している。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、2021年8月31日まで産前・産後休暇および育児休業により研究を中断し研究期間1年間を延長したため、2021年9月1日より、【研究2】の類型化作業の続きを実施する予定である。また、2022年度には、2021年度に実施予定であった【研究3】住環境評価指標のスコアリングの妥当性検証作業を実施する予定である。本研究では、障害特性と住環境の組み合わせが高齢者の残存能力の最大化いに与える程度を示すスコアを作成し、フォーカスグループインタビューを実施する予定である。フォーカスグループインタビューでは、病院や地域で働く作業療法士、介護支援専門員を対象と考えているため、インタビュー実施時点での新型コロナ感染症の蔓延状況を踏まえ、オンライン等の手段を用いるなど感染対策を行いながら実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年8月31日まで産前・産後休暇および育児休業により研究を中断し研究期間を1年間延長したこと、および新型コロナ感染症の蔓延により、研究アドバイスを受けているスウェーデンへの渡航が困難となったことにより、次年度使用額が生じた。2021年9月1日に研究再開後には、当初の計画内容通りに研究を進める。また、今後の感染状況が改善し、スウェーデンへの渡航が可能となった段階で検討を行う。
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