研究実績の概要 |
要介護高齢者の生活の質を維持するには、本人の望む限り残存能力を最大化し、できる限り自律的に生活することが望まれる。しかし、多様な障害をもつ要介護高齢者において、どのような住環境が残存能力を最大化するのかは明らかではない。本研究では、要介護高齢者の残存能力を障害特性と住環境との組み合わせから評価できる住環境評価指標を日本で活用するための妥当性検証を行っている。 2021年度は、2~8月まで産前・産後休暇および育児休業を取得した後、【研究2】住環境評価指標項目案の国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health: ICF)に基づく類型化の結果をまとめ、論文化する作業を行った。具体的には、開発中の住環境評価指標を構成する障害特性と住環境の2つの側面について、ICFの項目と比較検討したところ、障害特性については「心身機能・構造」面で捉えることが可能であった。しかし住環境項目については、ICFの環境因子は、対象とする概念がより抽象的であり、住環境評価指標の内容との比較が困難であった。そのため、研究1で行ったレビューを参考に、住環境評価指標の9つの側面に基づいて住環境項目を分類した。その結果、開発中の評価指標は9項目に分類することが可能であり、一定の妥当性が担保されたと考えられた。本内容は、英語論文としてまとめ、現在投稿準備を進めている。また、最終年度前年度応募研究課題として採択されたため、2022年度からは基盤B研究として、研究3以降を行うことを予定している。
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