コラーゲン加水分解物の摂取は褥瘡症状および膝関節痛症状の改善をもたらすことがヒト臨床試験で実証されている。コラーゲン加水分解物の摂取後、血中にはコラーゲン由来ペプチド量が増加する。このコラーゲン由来ペプチドが、間葉系幹細胞などの増殖を促進させることがコラーゲン加水分解物摂取による健康効果に関連していると考えられている。一方でコラーゲンを含む調理肉の摂取の場合には、コラーゲン加水分解物摂取と比較してコラーゲン由来ペプチド量が減少することが明らかとなっていた。調理方法により血中コラーゲン由来ペプチド量が変化すると考え、コラーゲン量の多い二ホンウナギを用いて蒸し調理、焼き調理を行いコラーゲン分子の分子量分布の異なる2つの調理肉をヒトに摂取させた。コントロールとして同量のコラーゲンを含むコラーゲン加水分解物を摂取させた。その結果、コラーゲン分子の分子量の低い蒸し調理ウナギ摂取の場合が最もコラーゲン由来ペプチド量が低く、次いで焼き調理ウナギ摂取、コラーゲン加水分解物摂取の順で増加した。コラーゲン特有のアミノ酸であるヒドロキシプロリン量を定量したところ、焼き調理よりも蒸し調理においてヒドロキシプロリン量が増加していたことから、調理方法を工夫してコラーゲン分子量の小さい調理品を用意したとしても、アミノ酸にまで分解されてしまいペプチドの状態として吸収されないことが初めて見出された。 本研究により、異なる調理方法によってコラーゲン由来ペプチド量の吸収程度が変化すること、またコラーゲン加水分解物の摂取とは異なり、分子量の低いコラーゲンを含む調理肉ではアミノ酸まで分解されてしまうことを明らかとした。
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