研究課題/領域番号 |
19K14011
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研究機関 | 山形県立米沢栄養大学 |
研究代表者 |
古田 歩 山形県立米沢栄養大学, 健康栄養学部, 助手 (40826541)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 魚 / おいしさ / 加熱条件 / テクスチャー / 呈味成分 / 官能評価 |
研究実績の概要 |
2019年度は,加熱条件が白身魚のテクスチャーと呈味成分変化に及ぼす影響を明らかにすることを目的として, 3つの加熱条件 (1)85℃ (2)75℃ (3)63℃ で加熱したマダイ肉について,テクスチャー解析,水分測定,呈味成分測定および官能評価を行った。 その結果,テクスチャー解析では, 63℃でやわらかく,加熱による魚肉の収縮が抑えられていた。水分測定では,未加熱試料に対して加熱試料で減少していたが,加熱条件間で差はなかった。呈味成分として核酸関連物質(NRCs)および遊離アミノ酸(FAAs)について測定し,主成分分析を行った結果,NRCsの変化は加熱条件の影響を受けていたが,FAAsは影響を受けていなかった。以上の結果を踏まえて官能評価を行ったところ, かたさはテクスチャー解析の結果と一致していたものの, 85℃が味を感じ,総合的に好ましいと評価された。「やわらかい加熱魚肉のほうがおいしく感じ,好ましい。」とのコメントが複数あった一方で,75℃および63℃は「味を感じにくい。」「臭いが気になる。」などのコメントも散見され,これらの要因が低評価につながったと推察された。 以上のことから,加熱条件は白身魚においてテクスチャーおよび呈味成分変化に影響を及ぼすことが示された。加えて,ヒトによって好ましいと評価される「やわらかく嗜好性の高い加熱魚肉」の調製のためには,呈味成分だけでなく臭気成分等の変化の制御も必要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度の実施予定分について終了することができたため,2とした。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の研究課題については,すでに着手しており,当初計画のとおり遂行する予定である。2020年度に予定している官能評価等については,新型コロナウイルスの感染拡大状況を注視し,実施時期を検討したいと考えている。 今年度中の実施が難しい場合は,2021年度研究課題を前倒しにするなどの対応により,研究課題全体の推進を図りたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
その他の経費として計上した予算に余剰が生じたため,次年度使用額が生じた。これらについては,2020年度以降の研究課題遂行費用および論文投稿などの研究成果発表費用に充てる予定である。
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