2021年度は,魚肉の主要なうま味成分であるIMPの生成・分解に関わる酵素:AMP deaminaseおよびIMPaseの熱失活挙動を調べることを目的とした。ブリ肉の各部位:普通肉および血合肉 からそれぞれ粗酵素を抽出後,加熱温度:85,75,63℃ で任意の時間加熱し,反応生成物であるアンモニア量あるいはリン酸量を測定した。その結果に基づき,AMP deaminaseおよびIMPase活性について,D値およびZ値を算出し,各酵素の熱失活挙動を検討した。 その結果,AMP deaminaseにおいて, D値の結果から63℃におけるAMP deaminaseの耐熱性は血合肉で高いことが示唆された。また,Z値の結果から,AMP deaminaseの熱感受性も血合肉で高いことが示唆された。IMPaseにおいては,D値の結果から,75℃および63℃におけるIMPaseの耐熱性は血合肉で高いことが示唆された一方で,Z値の結果から,IMPaseの熱感受性は両者でほとんど差がないことが示唆された。
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