研究課題/領域番号 |
19K14019
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研究機関 | 鎌倉女子大学 |
研究代表者 |
菅原 沙恵子 鎌倉女子大学, 家政学部, 助教 (70827469)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 唾液分泌型miRNAマーカー / インスリン抵抗性 / 糖尿病 / 糖尿病合併症リスク / 非侵襲予防法 / フードモデル |
研究実績の概要 |
miRNAは血中のみならず、尿中や唾液中にも分泌され、癌分野では早期診断や予後予測への応用が始まっている。本研究では、非侵襲で採取が可能な唾液に注目し、唾液中分泌型miRNA計測とフードモデルを融合させた新たな糖尿病と合併症の非侵襲予防法確立をめざしている。令和元年度は、インスリン抵抗性特異的な唾液中分泌型miRNAの網羅的同定及び標的遺伝子予測による機能推定を行うために、(a)臨床検査に基づく健常及びインスリン抵抗性の被験者の選抜、(b)唾液中分泌型miRNAの単離・濃縮とマイクロアレイによるmiRNA発現プロファイリングに向けた条件検討を行った。 (a)血液生化学検査により血糖値(空腹時血糖値、HbA1c)評価、およびインスリン分泌能・感受性指標(IRI、HOMA-R)評価を行い、健常およびインスリン抵抗性の被験者への唾液採取の依頼を開始した。基準値については、一般社団法人 日本糖尿病学会 糖尿病治療ガイドを参考とした。 (b)唾液中分泌型miRNAの安定的な単離・濃縮方法を検討した。本研究では、唾液中の遊離miRNAの単離を目的としているが、唾液は粘性が高く、口腔細胞などが混入しやすい。そのため、被験者1名の唾液を採取し、サンプル採取時のタイミングや不純物の処理方法など様々な条件でmiRNAの単離を検討した。また、miRNAの濃縮・抽出には、QIAGEN社製のmiRNeasy Serum/Plasma Advanced Kitを使用した。さらに、同社製のQIAcube Connect Systemを使用することで、ハイスループットかつ再現性の良いmiRNAの濃縮・単離が可能で、本systemの条件検討も並行して進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を行うにあたり、ハイスループットで再現性良く、唾液中分泌型miRNAを抽出することが重要であると考え、QIACube Connect Systemを導入した。その機器選定等にやや時間がかかったものの、被験者からの唾液サンプルの採取およびmiRNA抽出方法の最適化を行うことができた。以上を踏まえ、今年度はおおむね順調に研究が進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
超微量分光光度計を用いて、被験者の唾液から単離・濃縮されたmiRNAの質や量を評価し、miRNAマイクロアレイ(受託解析)により網羅的に解析する。また、インスリン抵抗性特異的な唾液中分泌型miRNAを同定して、Targetscan及びmiRDBによりmiRNAの標的遺伝子予測を行い、miRNA発現のプロファイリングを進める。並行して、唾液からのRNA抽出効率について標準化用RNAとしてU6snRNAで定量的RT-PCRも検討し、安定的な抽出方法を探索する。フードモデルシステムに外部からデータを入力し、miRNAデータ追加の改変について検討を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
SAT-AS1 食育SATシステムPlus(プラス)システム導入セットについては、令和元年度の初頭に、大学での導入が決定され、購入の必要がなくなった。そのため、当該年度は、ハイスループットかつ再現性の良いmiRNAの濃縮・単離のため、QIAGEN社製のQIACube Connect Systemを導入し、差額が生じた。次年度使用額は生化学試薬類の購入に相当する予定である。
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備考 |
教員情報-菅原沙恵子 https://www.acoffice.jp/kmwuhp/KgApp?kyoinId=ogybgegyggi 第74回日本栄養・食糧学会大会(仙台)にて、「インスリン抵抗性特異的な血中分泌型miRNAの網羅的同定と標的遺伝子予測による、糖尿病と合併症の新たな診断マーカーの探索」の演題でトピックス賞を受賞。
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