本研究課題では、国産ササゲ豆の一般成分とファイトケミカルのプロファイリングにより海外産ササゲ豆との特性比較をおこなう。また、豆類を食するためには、加熱加工が不可欠であることから、ササゲ豆の加熱による成分変化を解明することを目的としている。この研究の遂行により国産ササゲ豆の特徴を明示し、ファイトケミカルを量的・質的に効率よく摂取できる加熱手段を提示することを目指す。本年度は、加熱加工したササゲ豆におけるファイトケミカルの成分変化を調査した。 1.加熱加工の実施:一般的な加熱手段である1)煮る、2)蒸す、3)炒るを選定し、国産のササゲ豆の加熱加工をおこなった。ササゲ豆特有の黒色や赤褐色の種皮には、赤色や紫色を呈するアントシアニンなどのファイトケミカルが含まれることが明らかとなっていることから、加熱による種皮色の変化を評価した。赤ササゲ豆と黒ササゲ豆では、「煮る」加熱加工により生豆と比較して著しく異なる程度に種皮色が変化することが示唆され、種皮のファイトケミカルが影響を受けている可能性が示唆された。 2.ファイトケミカルの分析:加熱加工後のササゲ豆のファイトケミカルの総量は、22~146%の範囲で増減しており、「煮る」では生豆と比べて約30%への減少を認めた。「蒸し」は、「煮る」と同じ湿式加熱の調理加工法である。「蒸し」加工後の総量は生豆の約60~75%であり、加熱加工法によりファイトケミカルに与える影響が異なることが示唆された。「煮る」においてファイトケミカルが減少した理由の一つとしては、煮汁への溶出が考えられた。 本年度の研究では、加熱加工がファイトケミカルに与える影響が、加工方法により異なることが示された。また、湿式加熱ではファイトケミカルの減少が認められ、アントシアニンおよび高重合度プロアントシアニジンの減少がその要因であることを明らかとした。
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