研究実績の概要 |
食物アレルギー患者に対して、原因食物を少しずつ摂取して治癒を目指す経口免疫療法の有用性が報告されてきている。しかし、治療中に全身性アレルギー症状が頻回に誘発されてしまうことが必須の治療である。我々は、分子量が3500kd以下のペプチドミルク(商品名:E赤ちゃん, 森永乳業)が、普通ミルクに比べて安全であることを先行研究で確認した。さらに、牛乳アレルギー患者25人に対して、ペプチドミルク、完全加水分解ミルク(商品名:MA-m, 森永乳業)を用いた二重盲検の経口免疫療法を行い、ペプチドミルクを連日摂取する群で、全身症状の誘発なく普通ミルク摂取可能量が有意に増加したことを報告している。しかし、治療に反応しない患者がいたことから、治療開始前にペプチドミルク経口免疫療法の治療効果を評価することができるようになれば、治療の導入の適否を治療前に選択できるようになると考えている。 その治療に参加した患者で治療効果の見られた11名(改善群)と改善が見られなかった6名(非改善群)の治療開始前の血清について解析を検討した。まず、牛乳アレルゲンの解析を行うにあたって、2D-westernの方法を再評価を行った。電気泳動パターンが不安定であることがわかり、現在解決のために泳動条件の変更を検討している。 さらに、先行研究を改良したペプチドミルク・完全加水分解ミルクを早期から摂取する臨床研究を計画している。今後、臨床研究申請・患者募集へ進む予定である。
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