研究課題/領域番号 |
19K14025
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研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所) |
研究代表者 |
犬尾 千聡 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 部長 (30586780)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 食物アレルギー |
研究実績の概要 |
食物アレルギー患者に対して、原因食物を少しずつ摂取して治癒を目指す経口免疫療法の有用性が報告されてきている。しかし、治療中に皮膚、消化器、呼吸症状などの全身性アレルギー症状が頻回に誘発される。我々は安全に摂取可能な低アレルゲン経口免疫療法の探索を行っている。 今年度は経口負荷試験の結果を解析することで、牛乳を用いた少量経口負荷試験と低アレルゲン化されるbaked milkを用いた少量経口負荷試験の結果を比較検討した。 2016年4月1日から2020年3月31日の期間に入院のうえ実施された牛乳アレルギー児に対する食物経口負荷試験について診療録を用いて後方視的に検討した。牛乳摂取によるアレルギー症状の既往がある患者、牛乳特異的IgE値が0.70UA/mL(Class2)以上の患者を抽出した。経口負荷試験はbaked milk 含有加工品(BE)群で33例、普通牛乳(RM)群で54例に実施していた。月齢はBE群66か月、RM群44か月、牛乳特異的IgE値はBE群38.1UA/mL、RM群26.5UA/mLでいずれも有意差は認めなかったが、牛乳によるアレルギー症状が重く、牛乳特異的IgEがClass6の患者が2割ほどいた。牛乳相当の負荷量はBE群で0.06mL、RM群で4mLだった(p<0.001)。経口負荷試験陽性率はBE群では陽性者9%、RM群では陽性者54%とBE群の方が有意に陽性率が低かった(p<0.001)。牛乳特異的IgE値クラス別の経口負荷試験陽性率の検討では、BE群ではクラス6でも陽性者はなく、Grade3以上の症例もなかった 。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
特定臨床研究の審査に時間がかかっており、研究本体に取り組むのが遅れてしまっている。次年度早期に研究に取り組む予定としている。
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今後の研究の推進方策 |
特定臨床研究の審査を通して、院内倫理委員の承諾をいただいて、研究に取り組むと予定となっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
特定臨床研究審査が次年度に申請の先送りになっている。そのため、審査費用も繰り越しとなっている。それを含めて、研究を施行する予定となっている。
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