研究課題/領域番号 |
19K14027
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研究機関 | 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所 |
研究代表者 |
粟津 薫 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 主任研究員 (30435888)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 生理活性アミン / biogenic amines / ベビーフード / 健康影響評価 / HPLC-FL |
研究実績の概要 |
2019年度は、ベビーフードの生理活性アミン類(BA)分析法の確立を目指しており、蛍光検出高速液体クロマトグラフィー(HPLC-FL)による高感度一斉分析法の確立に取り組んだ。その中で、8種類のBA(Him、Tym、Phm、Trp、Cad、Spm、Spd、Put)を対象に、フルオレスカミンを用いた蛍光誘導体化条件およびHPLC-FLの分析条件を明らかにできた。 フルオレスカミンを用いた蛍光誘導体化は、0.2mol/Lホウ酸緩衝液(pH8.5)中で反応を行うことにより、芳香環やインドール骨格を有するHim、Tym、Phm、Trp、直鎖構造を示すCad、Spm、Spd、Putのいずれも良好に誘導体化された。また、フルオレスカミンは0.6%の濃度でアセトンに溶解したものを用いることで、いずれのBAも良好に誘導体化された。 HPLC-FLによるBAの分析は、0.05mol/L酢酸緩衝液とアセトニトリルを用いた低圧グラジエント法により行った。酢酸緩衝液はpH5.3、カラムオーブン温度は50℃でグラジエント条件を検討した結果、SpmとSpd、TrpとPhmの分離が不完全であったが、他のBAは完全分離が得られた。誘導体化されたBAの検出は蛍光検出器を使用し、励起波長390nm、蛍光波長480nmで行った。 本手法は、試験溶液中BA濃度0.05ug/mLから10ug/mL(Spm 0.1 ug/mLから10ug/mL、Trp 0.2 ug/mLから10ug/mL)の範囲で良好な直線性を示した。定量下限(S/N≧10)は0.05ug/mL(Spm 0.1ug/mL、Trp 0.2ug/mL)であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は、研究実施計画で予定していた6種のBA(Him、Tym、Phm、Tpm、Put、Cad)に加えてSpm、Spdを含めた8種のBAを対象としたHPLC-FLによる高感度一斉分析法を確立した。しかしながら、実サンプルのベビーフードを用いた固相抽出カラム精製法については詳細なデータが未だ得られておらず、当初予定していた分析前処理法を含めたベビーフードのBA分析法の確立には至っていない状況にある。そのため、2020年度は、2019年度に引き続き分析前処理法について検討を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に引き続き、2020年度もベビーフードに含まれるBAの分析前処理法の確立に向けた条件検討を行う予定であり、適用可能な固相抽出カラムの種類や精製条件に関するデータの取得を目指す。固相抽出カラムを用いた分析前処理法およびHPLC-FLによる高感度一斉分析法を合わせたベビーフードのBA分析法を確立し、2020年度に予定していた国内に流通するベビーフードのBA含有実態を調査する。また、分析妨害物質の影響を受けていないか等を評価し、確立した分析法の有用性を確認する。BA含有実態の調査結果をもとに、製品ごとのBA含有量に基づく乳幼児への健康影響を評価するとともに、ベビーフードの原料や形状などの製品の特徴とBA含有量の関係を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実サンプルのベビーフードを用いた固相抽出カラム精製法の検討について、進捗に若干の遅れが生じており、次年度は適用可能な固相抽出カラムの種類や精製条件に関するデータを得る必要がある。そのため、生じた使用額によりベビーフードおよび市販の固相抽出カラムを購入し、分析前処理法について検討する予定である。
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