研究実績の概要 |
ベビーフードに含まれる生理活性アミン類(BA)による乳幼児への健康影響を評価する目的で、分析法を検討した。 まず、蛍光検出高速液体クロマトグラフィー(HPLC-FL)を用いた分析条件を検討した。ヒトへの健康影響が認められているBA6種(Him、Tym、Phm、Tpm、Put、Cad)、生鮮食品に含まれるBA2種(Spd、Spm)、内部標準物質(1,7-Diaminoheptane)について、フルオレスカミンを用いて蛍光誘導体化したものを分析対象とした。久保田らの方法(食衛誌,vol.60,p61-67,2019)を参考に、分析カラムにODSカラム、移動相に酢酸緩衝液、アセトニトリルおよびメタノールを用いたグラジエント溶離を行うことにより、9成分全てで良好なピーク分離が得られた。 次に、逆相-陽イオン交換ミックスモードの固相抽出カラム(WCXカラム)を用いた分析前処理法を検討した。試料にフリーズドライタイプのベビーフードを用いて検討したところ、BA添加抽出液を用いたときは良好な回収率が得られたが、BA添加試料を用いたときに回収率が低下した。試料に含まれる分析妨害物質の影響と考え、ウェットタイプのベビーフードに変更し、カラムに負荷する試料抽出液量を減らすことにした。あわせて抽出溶液、カラム精製時の洗浄、溶出条件の詳細な検討を実施した結果、5%トリクロロ酢酸:メタノール(1:1)による試料抽出、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.8)、水、50%メタノールによるカラム洗浄、ギ酸:水:メタノール(2:48:50)によるカラム溶出により、Him、Tym,、Spd、Put、Cad、Phm、1,7-Diaminoheptaneの7種で良好な回収率が得られ、ウエットタイプベビーフードに適用可能なBA分析法を確立した。
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