本研究では,天然繊維に媒染染色の手法で銅塩や鉄塩を担持させ,その酸化作用により悪臭除去を行う消臭布,加えて染料や繊維高分子のイオン的性質を利用した吸着型の消臭布を調製した.異なる除去機構をもつ消臭布を併用した悪臭除去について,除去量だけでなく分解や吸着速度に着目し,詳細な機構解明を行った点で学術的意義をもつ.また,単一臭にとどまらず,チオールとアンモニアなど,除去機構の異なる混合臭に対しての検討など,実環境を見据えた複雑な系においての研究は希少である.さらに,消臭効果の可視化を図ることで,機能の効果に対する消費者の安心感や満足感に繋がる付加価値を与えたことは,大きな社会的意義を有する.
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