研究課題/領域番号 |
19K14033
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研究機関 | 新潟県立大学 |
研究代表者 |
小島 唯 新潟県立大学, 人間生活学部, 助教 (90780403)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | こども / 食費 / 食品群別摂取量 / 食事摂取基準 / 食習慣 |
研究実績の概要 |
本研究は,低所得世帯の子どもを対象に,食費をかけずとも栄養摂取状況の良好な子どもの食事内容や食行動,その保護者の食事づくり行動を明らかにし,食事にお金をかけなくても健康的な食生活を送るための栄養教育教材を開発することを目的としている。 本年度は昨年度までに引き続き,食費が安価かつ栄養素摂取状況が良好な児童の食事内容の分析として,主食・主菜・副菜のそろった食事の回数,摂取量の多かった食品群をどのような料理から摂取しているかの検討を行った。その結果,食費が安価でも栄養素摂取状況が良好な児童は,主食・主菜・副菜のそろった食事回数が,栄養素摂取状況が良好でない児童と比較して多かった。摂取量の多い食品群として,緑黄色野菜は,汁物として多く摂取されていた。 加えて,食費が安価でも栄養素摂取状況が良好な児童の属性,家庭状況,生活習慣の特徴を検討した。食費が安価な児童を解析対象とし,栄養素摂取状況の程度で2群に分けたところ,栄養素摂取状況と,性別,体格,世帯収入,家族構成,母親・父親の学歴等の家庭状況に差はみられなかった。生活習慣では,食費が安価かつ栄養素摂取状況が良好な児童で,朝食を毎日食べる,休日に間食を食べる者が多かった。 本研究により,食費をかけなくても良好な栄養素摂取となる食事内容や生活習慣が示され,これらの食事や食習慣を推奨する栄養教育教材が適している可能性を示唆した。 本年度はこれらの検討について,学会発表を行い,論文を執筆している。なお,22nd IUNS-ICNで発表した演題は,Young Investigator Excellent Abstract Awardを受賞した。 合わせて,良好な栄養摂取状況に関連する,子どもや保護者の食行動についてWeb調査を計画し,調査項目を検討した。次年度にWeb調査を完了し,栄養教育教材を作成する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の研究実施計画では,子どもの食事調査データにおける食費が安価かつ良好な栄養素摂取状況を満たす食事内容の分析を完了させ,食費をおさえながらも良好な食事を達成する子どもの食行動や保護者の食事作り行動に関するWeb調査へ移行する予定であった。しかしながら,Web調査の実施にあたり,子どもの生活習慣等の特徴について追加解析を行ったこと,先行研究をさらに整理する必要があったこと,新型コロナウイルス感染症の感染再拡大に伴う他の業務が逼迫したことにより,調査を完了できなかった。次年度は,Web調査を完了し,食費をかけずとも,良好な食事摂取を実現するための栄養教育教材を作成する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度,学会発表を行った安価な食費と良好な栄養素摂取状況の両方を満たす食事内容および生活習慣の特徴について論文投稿を完了させる。また,それに関連する食行動や食事づくり行動について,Web調査を実施する。食事内容と食行動の2つの面から,低所得世帯でも取り入れやすい,食費を抑えながら良好な栄養素摂取となる食事の工夫について栄養教育教材を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度にWeb調査を実施するための費用,論文投稿費を計上していたが,調査を延期,論文投稿の準備中であるため,次年度使用額が生じた。次年度,Web調査の調査委託費用,論文投稿費(英文校閲費を含む),および栄養教育教材作成費用として使用する。
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