研究実績の概要 |
本研究は,厚さ0.1 mmに機器で圧縮した米飯粒(以下,圧縮米飯粒)の明度測定および画像解析による粒内の輝度分布の変化から,米飯の性状変化を視覚的および定量的に捉える品質評価法の構築を目的としている。 本年度は,本法の玄米飯への適用可能性を検討した。さらに飯の力学的物性値および酵素法による糊化度と圧縮米飯粒法の測定値との関連性について検討した。 試料米には、吸水特性の異なる3品種の玄米を用い,加水比1.5,浸漬時間1および24時間の条件で炊飯した飯,さらに飯を4℃で18時間冷蔵した飯を調製した。炊飯直後および冷蔵後の玄米飯の皮及び胚芽を除去し,1粒ずつ圧縮米飯粒プレパラート(テクスチャーアナライザーにより荷重をかけて0.1 mmに圧縮)を作製し,色測定(L*),顕微鏡(BZ-X700, KEYENCE)および付設の画像解析アプリケーションによる解析を行った。さらに飯の力学的物性と糊化度(βアミラーゼ‐プルラナーゼ法)の測定を行った。 玄米飯の皮及び胚芽を除去して作成した圧縮米飯粒の画像解析の結果,白飯に類似した輝度ヒストグラムが得られた。冷蔵により画像の輝度分布の最頻値は低輝度側へシフトし,品種により差がみられた。さらに輝度30前後に白飯では見られない小ピークが観察された。そこで輝度30をしきい値として画像を2値化した結果,低輝度の部分は飯の中心部にあることが明らかとなり,芯飯のように糊化が不十分な状態と推察された。また,初期老化の指標となる輝度130以下の面積率とL*は,糊化度との相関が高かった。以上より,圧縮米飯粒法は玄米飯の性状評価にも適用可能であること,飯内部の糊化の不均一さを視覚的・数値的に評価しうる可能性が示唆された。
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