研究課題/領域番号 |
19K14048
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研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所) |
研究代表者 |
藤田 真弓 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 医師 (30835385)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 食物アレルギー / 経口免疫療法 / 経口負荷試験 |
研究実績の概要 |
複数抗原が含まれる食品(パン)での経口負荷試験を行った。1/32本(卵0.024g相当、乳0,06ml相当、うどん2.1g相当)の初期量の安全性を確認した。牛乳アレルギー患者について検討したところ、乳特異的IgE値がClass6の高値の患者においても、経口負荷試験でのアレルギー症状の誘発は認められず、安全に行えることが判明した。 卵アレルギー患者について、経口負荷試験後に少量ずつ増量して摂取する経口免疫療法を行い、その予後を評価した。49人が対象となり、経口免疫療法の増量期にアレルギー症状が出現した症例は8人であり、41人はアレルギー症状の出現は認めなかった。Sampson分類でGrade4のアレルギー症状が3例に認められたが、2例は経口免疫療法に使用したパンではなく、それ以外の食品の誤食による症状であった。経口免疫療法開始後1年経過を確認できた患者のうち50%の患者で、目標量であるパン2本(全卵1.4g相当)に到達していた。以上より、複数抗原を含む食品での経口免疫療法は、治療経過中の誘発症状が少なく安全に増量を行える可能性があることが示唆された。経口免疫療法1年後の摂取状況を比較するために、パン1本未満と1本以上の患者について検討したところ、1本未満の患者は有意に年齢が高く、卵白特異的IgE値が高値であり、経口免疫療法の経過中にアレルギー症状の誘発が多かった。このことから、経口免疫療法を行う際にパンでの治療に適した患者群が特定できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
複数抗原が陽性である患者群の評価ができていない。
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今後の研究の推進方策 |
複数抗原(卵と乳)の患者に対する経口負荷試験の安全性と、経口免疫療法の有効性について評価する。患者群をさらに増やして検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
出産のため、産前産後休業および育児休業のため研究を一時中断した。翌年度は患者数を増やし、血液検査として特異的IgE値やIgG4値、好塩基球活性化の変化を測定する。
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