研究課題/領域番号 |
19K14048
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研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所) |
研究代表者 |
藤田 真弓 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 医師 (30835385)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 食物アレルギー / 経口負荷試験 |
研究実績の概要 |
卵・乳併存アレルギー児に対する卵と乳を含む市販のパンを用いた経口負荷試験の安全性について検討した。対象は76例で、男児60人、平均年齢は2.2歳であった。卵白、オボムコイド、牛乳、カゼインの特異的IgE値の中央値はそれぞれ、41.05 UA/ml 、15.15 UA/ml、30.36 UA/ml、26.5 UA/mlであった。経口負荷試験での摂取量は全例0.5g(全卵0.07g、乳0.06ml相当)の単回摂取であった。判定結果は陽性が1例、陰性が72例、保留が3例で、陽性の1例はSampson分類皮膚Grade1、呼吸器Grade2の症状を認めたが、小麦アレルギーが併存していた。保留の3例の内訳は消化器Grade2が2例、皮膚Grade1が1例であった。抗ヒスタミン薬やアドレナリン投与を必要とする症例はなかった。卵・乳併存アレルギー児に対する市販のパンを用いた経口負荷試験では、症状の誘発は少なく、卵・乳を同時に検査が行える可能性があることが示唆された。 またオボムコイドの特異的IgE高値の卵アレルギー患者に対する経口負荷試験についても検討した。対象は24例で、男女比は3:1で、年齢中央値は2.6歳だった。卵白、オボムコイド特異的IgE(中央値)はそれぞれ54.9UA/mL、39.1UA/mLであった。経口負荷試験の摂取量は全例0.5g(全卵0.07g相当)の単回摂取であった。結果は陰性21例、保留2例、陽性1例であった。保留例の症状はそれぞれSampson分類皮膚症状grade1と消化器症状grade2であった。陽性例の症状は皮膚grade1であった。抗ヒスタミン内服を行ったのは保留1例と陽性1例だった。アドレナリン投与を要する症例はなかった。オボムコイド特異的IgE値が高値の卵アレルギー患者は、少量の加工品摂取によって症状が誘発されることは少なく、症状も軽微だった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響で受診控えが多いことや、院内の問題で入院症例が限られており、経口負荷試験の実施数が少なかったため。
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今後の研究の推進方策 |
卵・乳の併存アレルギー児に対する経口負荷試験の安全性が確認できたため、今後は摂取量を増量していく経口免疫療法の安全性と有効性について確認する。卵と乳そのものの摂取が可能となった時期や期間についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により海外学会への参加ができず、旅費の使用分がなかったため。
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