近年食物アレルギーに対する食事指導の方法として、少量のアレルゲンから摂取するFood Ladderを用いた指導方法の有用性が報告されている。卵と乳のアレルギー児に対し、卵と乳を含む市販のパン:Baked Egg and Baked Milk(BEBM)から食事指導を行った。BEBMで開始するFood Ladderに沿った食事指導の臨床経過を明らかにするため、2018年4月から2020年3月にBEBMで食事指導を開始し、2年以上経過を追えた卵・乳併存アレルギー児を対象とし、診療録を後方視的に検討した。対象は22人で、男児16人、年齢中央値は1.4歳、介入前の卵白、オボムコイド、牛乳、カゼインの特異的IgE値の中央値はそれぞれ、40.9 UA/ml 、15.2 UA/ml、22.35UA/ml、23.7 UA/mlであった。全例BEBM初回導入の経口負荷試験を行い、陰性を確認し、Food Ladderでの食事指導を行った。2年間で加工品摂取が可能となったのは卵16例(72%)、乳11例(50%)であった。期間の中央値はそれぞれ13か月と14か月であった。除去食解除は卵10例(45%)、乳6例(27%)で、期間の中央値はそれぞれ17か月と9か月であった。脱落例は3例(13%)であった。卵・乳併存アレルギー児のBEBMからのFood Ladderを用いた食事指導は、半数以上で加工品の摂取が可能となった。
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