研究課題/領域番号 |
19K14056
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
山田 亜紀 玉川大学, リベラルアーツ学部, 助教 (30768776)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | STEAM / STEM / 学際教育 / society 5.0 / 文理融合 / 比較教育 |
研究実績の概要 |
今年度の主な活動としては、国内外の複数の高等教育機関へ訪問調査を行い、学会において研究発表し、また上記の活動から得た知見を元に論文執筆を行った。国内訪問調査先として、筑波大学に行われた学際教育のセミナー及び講義に参加、それに並行して講演者から聞き取り調査も行った。国外では、オーストリアとアメリカ・ロサンゼルスに赴き、視察を行った。まず、オーストリアではメディアアートフェスティバルというSTEAM教育の実践として制作されたアート作品を鑑賞し、同時にアーティストや制作者たちに学際教育のと各々の作品との影響関係や、学際教育の特徴などの点についてインタビューを行なってきた。またアメリカ・ロサンゼルスでは、訪問先としてUCLAを訪問し、高校生向けのSTEAM教育ワークショップに参加し、引率者、指導者の教育法を学び、同時に学習生からの意見も聞き取ってきた。他に、自身の研究テーマである高等教育についてUCLAで発表することができ、次年度の研究のパイプラインとなるコネクションも先方の先生、作家達と人的ネットワークの構築もできた。アカデミアの知見や理論にとどまらず、実践の現場でSTEAMを教えている教員や作家と意見交換ができ、同時に教育法においてどのような特徴、工夫、問題点があるのかも実体験として観察し、大きな気付きにもつながった。論文や報告書などのテキストの内容からでは、決して伺えることのできない現場の声、そしてSTEAM教育の現状を見ることができる貴重な機会であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在Journal of Comparative & International Higher Educationに、本研究によって得たデータを元に執筆した論文 "Japanese higher education: The need for STEAM in Society 5.0, an era of societal and technological fusion"を投稿し、査読の結果を待っている。この論文は、去年夏にアメリカ・ロサンゼルにあるUCLAへの調査訪問、並びにオーストリア・リンツにて行われたメディアアートフェスティバルで得たインタビューの成果などに基づいて、書き上げたものである。2019年度は国内で二回学会発表をしており、2020年度に開催予定だった海外の国際学会も応募をしていたところであったが、COVID-19感染拡大の煽りを受け、学会自体がキャンセルになってしまった。また、二月に京都で開催される予定であった国際会議に、”Importance of STEAM Education: Media Art in Societal and Technological Fusion”をタイトルに英語による論文を執筆している。この論文は、国際学会での発表後に、更に編集する予定であったが、学会自体がキャンセルとなったため、現時点では、当該学会に参加する予定だった海外の研究者と、オンラインを通じて互いの論文を読み合っている現状である。本来の予定としては、来年度に公式に出版する専門書の一つの章になるものである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の一年目は、主に論文を執筆するにあたっての資料、訪問調査、データを収集する期間であった。次年度は、現世界で深刻に直面しているCOVID-19の問題があるため、海外には極力渡航はできないと懸念されている。そのため一年目に国内外で得たデータを元に、今後は論文執筆を行う予定である。今後海外の研究者と遠隔でネット上で会議をしたり、面談、フォーロアップのインタビューを行なっていく予定である。学会も色々と延期になる可能性があるため、今後の予定では執筆活動に専念したいと強く考えている。また現時点で二個の英語論文を執筆したため、次年度は和訳版の論文執筆に取り掛かりたいと計画している。初年度は学会発表については、東京で開催されたACE2019、次に同じく東京で開かれた大学教育学会で、自身のSTEAM教育、文理融合教育について英語と日本語で発表を行った。中でもACE2019は国際学会であり、同じセッションにオーストラリア、フィリピン、シンガポールなど海外の研究者と席を並べ、各国のSTEM&STEAM教育の現状について話し合うことができたのみならず、今後訪問調査として伺いたいという意向を伝え、貴重な人的ネットワークが構築された、大変有意義な集まりになった。今後は、これらの学会を機に構築した人脈を積極的に活用し、インターネットを媒介にオンライン上で情報の共有を図り、意見を共有し、話し合いを行っていきたいと考える。今後、無事海外渡航可能になり、国際交流が再開された暁に、研究協力者としてどのように手を携えて協働できるか、その具体的やり方ついても、入念に打ち合わせを行なっていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度の未使用金額は427円残っているため、次年度に使い執行する予定である。未使用金額の427円が発生してしまった理由であるが、購入予定であった書籍が想定より安価にすんだためである。次年度には前年度の未使用金額の427円を使い、研究の一環として、文具、研究書物を購入して使用と考えている。次年度は主に前年度から得たデータを元に、英語論文と日本語論文を執筆するために、予算もその目的に合わして使用する予定である。主に、研究分野に関する研究書物、文具、電子機器、論文校閲費用(英文、構成)に使う計画を立てている。
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