本研究の目的は、戦後教育改革において、1)主に米国に由来する教育財政の理論と制度が日本に受容された過程、および、2)それらが戦後いかにして展開したのかを明らかにすることにあった。具体的には、対日占領政策における戦後日本教育財政改革の構想、そして、その構想がどのように日本に受容されたのかを分析する。その受容過程を明らかにしたのち、集権化から分権化を目指した戦後の日本と、分権化から集権化を目指した米国との間にある、教育のナショナル・ミニマム保障の問題に対する応答の差異を捉えることが、教育財政改革の受容過程を分析する上での鍵となると考えている。 本研究全体を通じた成果については、研究期間中におけるCOVID-19の影響と産育休を挟んだことを理由として、特に、本研究の中核となる米国教育財政改革に関わる資料について、現地調査による収集ではなく、国内にいながら収集する方向に変更することとした。 やはり国内での資料収集には限界があったため、この点については課題として残らざるを得なかった。一方で、研究計画の変更に伴い、最終年度の当該年度においては、研究目的1)及び2)のこれまでの成果をまとめ、当初予定していた書籍としての出版計画を進めることに十分な時間を充てることができ、書籍出版として研究成果を公表することができた。また、出版として成果をまとめたことで、研究期間全体として、次の研究課題への筋道を立てることができた。
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