研究課題
若手研究
溝上泰子の生活論と教育論に着目して、自己実現に資する社会参画や人間関係の指導の在り方を把握するために、教育方法学における「当事者性」の概念を整理し、溝上泰子の教育論における「主体」概念を整理した。その結果、溝上の教育論には「本質論的な主体概念」と「未来の軸にある未到達の主体概念」の2種の主体概念の表出傾向があり、「未来の軸にある未到達の主体概念」に基づいた学びの場をつくろうとした溝上の生活論/教育論を研究することが、「当事者になる」自己決定を促す関係性の研究に有用であったことを示した。
教育方法学
溝上の教育論には「未来の軸にある未到達の主体概念」が確認された。これは禅哲学の影響を受けたもので、西洋哲学における「主体」概念とは異なるものであった。その上で溝上は、本概念を用いながら、自身の無限の可能性を自覚し、実現する行動を指導する方法を模索し、社会参画と人間関係の側面から生活環境の分析を行い、閉ざされた環境の枠組みを分析できるよう場づくりする方法論を提出していたことが明らかとなった。