研究課題/領域番号 |
19K14069
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研究機関 | 都留文科大学 |
研究代表者 |
市川 桂 都留文科大学, 文学部, 特任講師 (60754546)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | デンマーク / 口頭試験 / 評価 / 数学 |
研究実績の概要 |
デンマークでは、日本やアメリカと同様に全国学力テストが導入および実施されている。しかし、それらの国とは異なり、学力テストの結果は学校の序列化を招かず、各学校での教育改善に生かされていると言われている。教育における学力テストの位置づけとともに注目すべきは、9年生対象の義務教育修了試験が口頭試験を含めて行われているということである。子どもが義務教育の中で身につけるべき力として、他者とのコミュニケーションを通じて自らの考えを深めていくことを掲げ、解答がひとつではない課題に取り組む能力を測定するという実践は、これからの社会における学力テストの在り方をどのように考えるのかということについての指針となり得る。 本研究は、デンマークにおける学力テストの事例の背景にどのような学力観や評価観があるのかということを明らかにするものである。(1)教育の目的、(2)教授学習の方法と学習成果の測定方法としての学力テスト、(3)教員の役割の3つの側面から実態を解明し、学力観と評価観について考察を行うことを目的としている。 今年度は、義務教育修了試験のうち、数学に焦点をあてて研究を行った。数学についても、抽出調査ながら語学系科目と同じように口頭試験が行われている。口頭試験では学習者のどのような能力を、どのように評価しているのか。能力測定の尺度はどのようなものを用いているのか、評価対象が解答の正誤だけでない場合、客観性はどのように担保されるのか。これらを明らかにするために、数学の試験の概要と評価の枠組みを概観し、具体的な事例を取り上げて考察した。これに加えて、口頭試験で生徒の評価ができる教員の養成がどのように行われているかということと、口頭試験で重要な役割を担っていると考えられる外部試験官について、インタビュー調査を実施した。研究の成果としては、国際学会においてポスター発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね計画したとおりに研究を進められている。文献や資料などを現地において収集するとともに、公立学校の教員や外部試験官、大学の教職課程の教員など、各方面の関係者の協力を得て事例収集も順調にできている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染拡大により、令和2年度の現地調査は断念している。当初は5月から6月にかけて実施される義務教育修了試験の口頭試験を撮影および見学する予定だったが、来年度に延期する。現地調査ができない分、初年度に入手した文献・資料の読み込みを行うとともに、これまでに得られた人脈を生かして情報収集を行い、さらに研究を進めたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月にアメリカ合衆国・マイアミにて国際学会に参加・発表予定であったのが、バーチャル学会に切り替わったため、旅費などにかかる経費を次年度に使用するものとした。
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