研究課題/領域番号 |
19K14072
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
米津 直希 南山大学, 教職センター, 准教授 (30733141)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 少子高齢化 / 子育て支援 / 地域連携 / 教育を受ける権利 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、感染症対策の観点から現地での調査が困難であったため、オンラインでの聞き取り調査を実施した。当初予定していた対象地域外ではあるが、地域内での連携を深め、新たな取り組みを行っている中頓別町における子育て支援活動に着目した。 中頓別町でも周囲と同様に少子高齢化が進んでおり、地域の担い手の育成は重要な問題となっている。当地域は北海道で初めて認定こども園をスタートさせるなど、新たな取り組みを進めている。具体的には、子育てのための支援として、18歳までの医療費、保育・幼児教育にかかわる費用、「放課後子どもプラン(放課後の児童預かりと体験活動を組み合わせた取り組み)の利用料」が、それぞれ無料である。 子育ての費用的負担軽減により、子どもを入園させやすくなったり、各種活動等にも参加しやすくなったりしたことで、一定に集団の規模が確保されやすくなった。また、自然に囲まれた町でも、必ずしもその環境下で過ごしたり遊んだりすることは当たり前のことではなかったが、各種活動を通して子どもが自分の町のことを知り、「利便性の有無だけでは判断できないふるさとのイメージ」が形成されているという。 一方で「町に子どもを戻す/残すための教育」だけではなく、各地・世界で活躍する子どもに育ってほしいという願いをもっている。こうした考えを背景に、英語教育の一環として希望者全員が全額町費負担でハワイへ語学研修に参加する取り組みも行っている。こうした取り組みの中で、本町の若い世帯が以前よりも定着していること、町に対する子どもの肯定的な意見が増えていることが、調査から明らかになっている。 本研究において示唆されるのは、少子化を背景に子育て世帯への支援を縮小することなく、むしろ充実させ、子どもの教育を受ける権利を十分に保障することが、少子高齢化社会における教育実践モデルとして検討されうることである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた現地での調査が困難であるため、可能な範囲での調査になっていることから、必ずしも計画通りには進んでいない。関連する地域の状況などについては聞き取りを行ったものの、当初予定していた地域への聞き取りが実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
現地での調査については今後も検討すべきだと考えているが、オンラインでの予備調査や文献等での調査を中心に、引き続き可能な範囲で進めていく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により現地における調査が実施できず、その旅費及び関連費用が発生しなかったため。
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