本研究は、教育実践における教育者の自律性や主体性と科学性の関係の検討を目的とするものである。よりよい教育実践のためには科学が不可欠である。しかし、実践者自身の自律性も重要である。本研究では、この論点に対して、城戸幡太郎の教育思想研究を主な方法として取り組んだ。まず、戦後期の城戸幡太郎の「ヒューマニズム」が、教育研究ならびに教育実践を基礎づける概念であることを明らかにした。次に、その「ヒューマニズム」は、心理学との関係の中で強調されていたことを明らかにした。そして、「立場」「生活」といった概念が自律性と科学性の関係においてキーワードとなることを明らかにした。
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