研究課題/領域番号 |
19K14086
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
平井 悠介 筑波大学, 人間系, 准教授 (20440290)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 公私区分論の再審 / 熟議民主主義の実質化 / 市民教育の正当化論 |
研究成果の概要 |
熟議民主主義は、人々が求める公正な社会を築くべく市民の多様な声を意思決定へと公正に反映させようとする民主主義の一形態である。その実質化に向け、市民には社会的少数者を含む多様な他者の声を聞き、相互に意思を尊重できる資質が求められる。市民的資質を学校教育とともに家庭教育においても育成するために、国家は市民教育の名の下で家庭にどこまで介入してよいかを、教育哲学における正当化論として構築した。 2010年代以降の熟議民主主義論の展開、およびリベラリズムの公私区分論の再審の議論の分析を経て、関係的自律性の育成が公教育と私教育を架橋するシティズンシップ教育の正当化根拠となり得ることを明らかにした。
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自由記述の分野 |
教育哲学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現代に求められる市民のあり方は、熟議民主主義論の進展によって、政治に参加し社会の構築と改善に寄与するだけにとどまらず、多様な政治的意思決定過程において、他者の声を聴き、それに真摯に向き合い、ときに自らの考えを柔軟に変えていくことまでをも含む傾向を示している。それにもかかわらず、シティズンシップ教育論・実践論は、参加民主主義論に基づく理論傾向を維持したままであった。こうした研究・実践的傾向性に対し、社会科学の研究進展に即した新たな教育論を構築したことに社会的意義がある。研究過程で蓄積した研究成果群は、教育哲学における公私二元論の克服の議論を活性化し、現代的視座を提示した学術的な意義も有する。
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