研究課題
若手研究
本研究では、動員の民主主義教育論としてクリティカル・ペダゴジーを解釈することを目指した。具体的には、歴史の記憶によって動員を行おうとしていること、それがクリティカル・ペダゴジーが依拠するラディカル・デモクラシーと接続しうることを明らかにした。また、動員の対象となる学習者が、抵抗する主体となりうるために求められる理路について、精神分析に依拠してパウロ・フレイレの論を読解している研究を用いて明らかにした。
教育哲学
本研究課題の成果が有する最大の意義は、クリティカル・ペダゴジーが傾向として有していた動員の内実を詳細に探究し、これまで当該分野で十分に検討されてこなかったこの概念を組み込んだ上で、民主主義教育論を提示した点である。これは、熟議民主主義論などのはじめとする、理性的主体による合理的行為を念頭に置いたものとは別の民主主義教育論を提示し、多様な民主主義教育実践を解釈・開発するための視点を整備したという点において、学術的にも社会的にも意義があるものと考えられる。