研究課題/領域番号 |
19K14097
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
藤井 佑介 長崎大学, 教育学部, 准教授 (20710833)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 教師の判断 / 即興的思考 / 授業 / 複式授業 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は協同学習場面における教師の意思決定過程を分析し、それらの知見を活用した教師の授業力向上のためのケースメソッド教材を開発することである。具体的には、先行研究に関する調査と整理 (令和元年度)、データ収集と分析(令和2年度)、ケースメソッド教材の開発(令和3年度)、ケースメソッド教材の評価と修正(令和4年度)から目的達成をはかる。 令和元年度は基礎研究を主とし、協同学習の理論と授業における教師の意思決定に関して再度、先行研究を中心に知見をまとめた。特に教師の授業における知識や思考について、国内外の動向を整理した。また、ケースメソッド教材の作成に関する方法を調査する等、本研究における背景理論を補強した。 また、2学年を同時に指導する複式授業に着目し、教師の意思決定の在り方について事例研究を行った。複式学級を担任している教職歴12年の教員を対象とし、ウェアラブルカメラ等の記録を参考に、ストップモーション方式による授業内における教師の判断と語りを記録し、分析した。調査の結果、教師の視線行動の特徴として①教師は数多くの視線行動によって児童や黒板など様々な視点から状況を把握していること、②教師は主に直接指導時の児童を見ており、間接指導時の児童へも度々視線を向けて学習状況を把握していることの2点が明らかとなった。さらに、教師の思考と判断の特徴として、①教師は指導場面や状況によって数多くの即興的な判断を行っていること、②「わたり」の場面においてタイミングや方向を児童の学習状況を基に判断していること、③教師が限られた時間の中でどのように指導するのか、2つの学年の学習過程を考慮したうえで常に時間を意識しながら判断を行っていること、 ④教師が授業の開始前にも教授方略や学習環境について児童の実態や学習内容を踏まえて判断を行っていること、の4点が明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
協同学習の理論と授業における教師の意思決定に関する研究やケースメソッド教材の作成に関する方法を調査する等、本研究における背景理論を補強に関しては文献調査を中心に予定通り進めることができた。ただし、3月に学校現場でデータ収集予定であったが、新型コロナの影響で学校自体が休校となってしまい、学校訪問が実現できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナの経過次第での判断となるが、学校訪問が可能になった時点で複数の学校と教師を対象としてデータの採集を行う。 また、その間には教師を対象としてオンラインを活用したインタビューを行い、協同学習時における教師の判断について情報を整理する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
3月に納品予定であったパソコンが遅れたため。次年度の初めに納品次第、予算を使用。
|