研究課題/領域番号 |
19K14107
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
神林 寿幸 明星大学, 教育学部, 講師 (70785279)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 教員 / 労働時間 / 健康 / ワークライフバランス / ウェルビーイング |
研究実績の概要 |
本年度は以下の3点に焦点を当てて研究を進めた。 第1に、教員の健康・ワークライフバランス・ウェルビーイングに関する国外の研究、ならびに教員以外の労働者を対象とした国内外の研究についてレビューを行った。教員に関する国内の先行研究が十分着目してこなかったものの、しかし教員の健康・ワークライフバランス・ウェルビーイングについて分析・考察するために必要な視点や項目について、産業衛生学、産業・組織心理学、健康心理学の先行研究を参照・整理した。 第2に、1点目を踏まえて、ある都道府県教育委員会のご協力を賜り、当該都道府県内の市町村立小・中学校に勤務する計1500名程度の教員を対象に、公立小・中学校教員の健康・ワークライフバランス・ウェルビーイングに関する質問紙調査を行った。その後、本調査データを用いて、長時間労働と教員の健康・ワークライフバランス・ウェルビーイングの関係、管理職のマネジメントや同僚教員からのサポートと教員の労働時間・ワークライフバランス・ウェルビーイングの関係を分析した。 第3に、教員の労働時間・健康・ワークライフバランス・ウェルビーイングに関する国際比較を行った。2018年にOECD(経済協力開発機構)が行った国際教員指導環境調査(TALIS2018)データを用いて、日本の教員の特徴を探索した。その結果、日本と同様に、教員の長時間労働やストレスに政策的・学術的に関心を寄せる諸外国・地域と日本の間には類似点と相違点があることを明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症という大変な状況にもかかわらず、関係者各位の多大なるご協力とご支援を賜り、公立小・中学校教員を対象とした大規模の質問紙調査を行うことができた。本調査を通じて、従来の教育学・教育行政学研究で注目されてこなかった教員の健康・ワークライフバランス・ウェルビーイングに関する実態が明らかになった。以上のような理由を踏まえて、当初の計画以上の研究成果が得られたと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症という大変な状況の中で関係者各位のご協力とご支援があって得られた公立小・中学校教員調査のデータを、今後は最大限学術と教育政策・実践に還元したい。具体的には前者については本調査データを使った研究成果を論文にまとめ、国内外のジャーナルに投稿する。後者については教育行政・学校教職員を対象とした研修で本研究成果を報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、各都道府県立図書館に禁帯出資料として所蔵されている教員の労働時間や生活時間に関する資料収集を行う予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大とこれに伴う緊急事態宣言等の発出により、資料収集が困難となった。そのため、次年度使用額が発生した。 次年度使用額として生じた金額については、新型コロナウイルス感染症の感染状況をみながら可能な限りで当初予定していた資料収集を行い、その旅費に充てる予定である。
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