本研究では,教師が学び続けていく上で重要になる心理的特性の一つであるレジリエンスを教員養成段階に特化して育成するプログラムを開発し,効果検証を行うことを目的としている。 そのために,次の5つの課題を設定している。①学生のレジリエンスが心理的・資質的成長に及ぼすプロセスの解明,②学生のレジリエンスに影響を与える心理・社会的要因の検討,③教員養成の学生や教師を対象としたレジリエンス育成プログラムの系統的レビュー,④プログラムの開発,⑤プログラムの実践と効果検証の5つである。 ④のプログラムの開発では,集団プログラムではなくコロナ禍でも活用できる形のe-learningプログラムで,自律的に学習することができるように準備を進めた。プログラムは,各項の目的,到達目標を記したテキスト資料,動画資料,課題で構成し,学習者が日常生活と結び付けて課題を提示することで,意欲的に取り組み,継続しやすいような工夫を行い作成した。その際,学習した知識や技能を日常場面に般化して応用していくためには,動画などの活用のみだけではなく,対面の講義形式の活用や,教育活動や課外活動などで多様な他者と共に課題解決を目指すような学修を積極的に取りいれることでより日常のレジリエンスを発揮することができるように向かわせることが重要であると考えられた。 今回,研究の遅れに伴い十分な効果検証の実施まで行うことができなかったため,科研費期間は終了するが,引き続き,効果検証にむけて準備を進めていく。また,学会での発表や論文執筆を進めていく予定である。
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