研究課題/領域番号 |
19K14111
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
山崎 智子 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (20636550)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | イングランド / 教員養成 / ブライス委員会 / Day training college |
研究実績の概要 |
本研究は、19世紀末から20世紀初頭にかけてのイングランドの高等教育機関(大学およびユニヴァーシティー・カレッジ)における教員養成課程の態様を明らかにすることで、教員養成と大学の関係を歴史的な視点から捉え直そうとするものである。 本年度は、前年度に引き続き、以下の二点について主に検討した。 第一に、「基礎教育に関する王立委員会」、通称「クロス委員会」(1886年-1888年)において提言された「通学制教員養成カレッジ(day training college)」の設立と発展について、先行研究および一次資料の収集・整理を行った。通学制教員養成カレッジ(1895年時点で12校)は、対象(男性向け/女性向け/男性と女性向け)、附設された高等教育機関のタイプ(オックスブリッジ/ロンドン/市民大学)、教育学教授職の有無、という視点から分類することが可能である。高等教育機関に附設された通学制教員養成カレッジは、その後、教育学部として大学の一学部に位置づけられていくこととなる。 第二に、「中等教育に関する王立委員会」、通称「ブライス委員会」の報告書(1895年)の収集及び分析を行った。ブライス委員会では、中等学校そのものの詳細な報告に加えて、当時の中等学校教員の状況や中等教育段階の教員養成の課題についての言及がある。中等教育段階の教員をめぐる課題として、体系的な教員養成の必要性が強調されたこと、また、教員のための専門職教育は理論面と実践面の両面で行われるべきであると提言されたことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨今の社会情勢に鑑みて研究計画を一部変更し、日本から収集可能な一次資料を収集・分析している。一部収集が困難な資料もあるものの、概ね順調に分析を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、通学制教員養成カレッジの中からいくつかの機関を事例として取り上げて詳細に分析していくとともに、研究のまとめを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度に引き続き、海外調査・国内調査を行うことが困難であったため。次年度も本年度同様に書籍等の物品購入費と、一次資料の収集・複写費に充てていく予定である。
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