研究課題/領域番号 |
19K14116
|
研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
山本 孝司 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (00399768)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | アリス・テンプル / 国際幼稚園連盟 / 幼稚園カリキュラム / シカゴ大学附属実験学校サブプライマリー / デューイ / エラ・ヴィクトリア・ドブス / 手工教育 |
研究実績の概要 |
2021年度は、パティ・スミス・ヒルとともに、フレーベル主義幼稚園批判と進歩主義幼稚園カリキュラム開発に取り組んだアリス・テンプルの実践理論に焦点を当て、彼女のシカゴ大学附属実験学校における幼小接続カリキュラム開発の取り組みについての考察を行った。この中で次のことを明らかにした。第一に、テンプルのシカゴ大学附属実験室学校における幼稚園と小学校第1学年の統一カリキュラムは、国際幼稚園連盟における「幼稚園カリキュラム」作成の延長線上にあり、開発の出発は、幼稚園教育の独自性がアメリカ教育界に広く知れ渡り幼稚園と小学校相互の影響関係が認められるようになったという土壌のもとで、児童研究運動と新心理学を背景に、個々の子どもの精神発達という点から施設を跨いで教育理論および実践について考案する可能性が拓かれたこと。第二に、彼女の幼稚園と小学校第1学年の接続カリキュラムにおいては、領域ごとに内容が、「社会的要求」と「子どもの成熟度」という二つの原則により整理されていたこと。そして、テンプルに特徴的であったのが、「社会的要求」を固定的ではなく、歴史的、地域的、個々の子どもによって可変的であると捉えたこと。第三に、同カリキュラムにおいて、幼稚園と小学校第1学年の教育内容の共有化とともに、「社会生活の研究」を軸に、子どもたちの経験に即して教育内容の系統的配列がなされていたことである。 また、エラ・ヴィクトリア・ドブスの手工教育を通した幼小接続の実践の試みに焦点を当て、小学校教師の側からの幼小接続の取り組みについても考察を行った。アメリカ幼稚園運動の他の指導者とは異なるドブスの実践の独自性として、実践理論としてのプロジェクト学習考案の過程で逆流する形でフレーベルへと辿り着いた点、さらに幼稚園教育から小学校教育へのアプローチではなく、小学校教育から幼稚園教育へとアプローチした点を明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は最終年度であったが、新型コロナウィルス感染拡大状況の影響により、研究資料の入手のための海外渡航ができなかったため、研究期間を延長するとともに、研究計画の見直しを余儀なくされた。
|
今後の研究の推進方策 |
2019年度、2020年度、2021年度の研究成果に基づく本研究全体の総括を行う予定である。 なお、研究資料の入手については、海外渡航を伴わない方法での入手を予定している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
最終年度の予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大の影響により資料収集のための海外渡航を見合わせる等研究計画の変更を余儀なくされ、研究期間の延長申請を行ったため。次年度も引き続き、資料収集のための海外渡航を見合わせる可能性があるため、当初予定していた海外渡航費用を文献購入および学会研究大会のオンライン開催に備えてPC等の機器の購入に充てる予定である。
|