研究課題/領域番号 |
19K14119
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
芦田 明美 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (30749164)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 国際教育開発 / 修学実態 / 地域間比較 / 縦断的データ |
研究実績の概要 |
本研究では、教育のアクセスから質、公正性、学びへと優先事項が移り、初等および中等教育の修了が目標として掲げられるSDG4.1の下、初等・中等教育課程の子どもたちの個々の修学実態がいかなる状態にあるのか、明らかにすることを目的とする。特に、地域間の格差の発生状況に着目し、教育の質および公正性の観点から、その改善状況や方策を検討する。そして、地域特性の異なる3地域を考慮した検討から得られる知見を用いて、ホンジュラス国全土への提言に止まらず、同国に続く後発開発途上国への提言を引き出すことを試みる。
研究4年目となる本年度は、前年度から引き続き現地の研究協力者の協力を得て、修学実態に関するデータベースの精緻化作業を行なった。また、現地のコロナ禍での学校の再開の様子についても引き続きモニタリングを実施している。このように遠隔での現地からの情報収集、データベースの更新作業を継続しつつ、新たな分析観点からのデータ分析を進めている。また、本若手研究としての研究期間終了年度を見据えて、特にコロナ禍がもたらした世界レベルでの学習機会の損失に着目し、本研究課題の将来的な拡大及び発展を目指すための検討を開始した。具体的には、本研究が主な対象とするホンジュラス国との比較を行うにあたっての、比較対象国の選定を検討している。その候補国の一つとして、カンボジアを対象に初等・前期中等教育の実態についての考察を行い、その結果をもとに国内学会にて学会発表を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19による渡航制限や現地の治安の問題により、研究代表者による現地調査の実施は見合わせたものの、研究協力者の協力を得てコロナ禍の現地における教育状況等の収集を実施することができた。また、これまでに収集および構築済みのデータベースを用いて分析を実施した。分析の過程においては、研究協力者とスカイプやメール等を通じて定期的にコンタクトを取り意見交換を行う等して、分析結果の考察に生かしている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の現地調査については、世界における新型コロナウイルス感染症の動向を注視し、また研究対象国における治安の問題を考慮しながら、研究代表者による渡航の可能性について検討する。研究代表者が渡航できない場合には、本年度同様、現地の研究協力者によるサポートを受けながら研究課題遂行の体制を取る。特に渡航せずとも可能な分析等の作業を中心として研究課題の遂行を行う。また、学会等における研究成果の発表を踏まえて、国内外の学術雑誌へ投稿することを試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大にかかる渡航制限のため、研究代表者による研究対象国への渡航を伴う現地調査の実施を取りやめ、国内で可能な作業に注力した。また、国内外の学会への参加についてもオンラインの形での参加を選択した。それにより、旅費として想定していた支出を行わなかったことから、次年度使用額が生じた。また、コロナ禍を経て世界的に新たな課題として表面化した学習機会の損失にも着目し、本研究課題を拡大・発展させるためにも研究計画の見直しを行なっている。この研究計画の見直しを踏まえた今後の使用計画としては、現地調査や海外での国際学会への参加が可能な場合にはそれらに充て、難しい場合には現地における研究協力者へのデータ収集に伴う謝金、分析作業に必要な物品や研究備品の購入、国内旅費、英語論文の国際学術雑誌への論文投稿に伴う必要経費等に充てることを予定している。
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