研究課題/領域番号 |
19K14120
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
布川 あゆみ 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 助教 (80799114)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学力 / 社会統合 / 職業訓練 / 移民・難民の子ども |
研究実績の概要 |
本年度は、ドイツの移民の子どもの学力調査結果に関して、国内調査実施分および国際比較調査実施分から把握に努めた。総じて、移民の子どもの学力が向上してきていることが指摘されており、この10数年の教育改革、とりわけ低学力層に手厚い教育政策が「功を奏している」との評価がなされていることが確認された。とりわけ、就学前教育への参加を促す政策を実施したことで、その後の学校への適応が促され、学力が向上する傾向にあることが示されている。 また近年、2015年のいわゆる「欧州難民危機」にて受け入れた難民の子どもたちの学力に関しても、徐々に論じられるようになってきており、かれらに関する先行研究についてもリサーチを行った。2015年に受け入れた難民の子どもは比較的高い学力をもっていることや職業訓練制度へのスムーズな移行などが論じられており、総じて適応の度合いは高いと論じられていることが見えてきた。 その一方で、移民・難民の子どもは依然として職業訓練先を確保することの難しさや支援不足からドロップ・アウト率が高いことなども指摘されており、移民・難民の子どもをとりまく特有の課題についてもその一端が見えてきた。 移民・難民の子どもが直面しやすい課題が何であるのか、学校適応(教育制度への適応)の先の労働市場への統合と連続的な視点から、調査・把握に努めることを次年度の重点的な課題として位置づける。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は第三子の出産・育児のため、4か月ほど研究中断期間があること、また新型コロナウィルスの関係で、年度末に予定していた現地調査の実施が困難になるなど、当初の計画通りに進めることができなかった。そのため、今年度は文献調査のみを実施する形に切り替え、来年度以降、現地調査を実施する形で予算を繰り越した。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの影響が続き、現地(ドイツ)入りできる可能性が見通せない。そのため、当初予定していた早い段階での現地調査は見送る。研究方法および研究計画を変更し、現地に行けないなかでできる研究活動を継続する。できるだけ、関係者に対してオンラインでインタビューを実施し、現地入りが可能な社会情勢になるまでの関係づくりや情報収集に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は第三子の出産・育児のため、産前産後休暇および育児休暇、計4か月ほど取得し、研究の中断期間が発生した。また新型コロナウィルスの影響で、年度末の現地調査が実施できなかったこともあり、残額を次年度に繰り越した。 現地調査の実施(現地入り)がまだ見通せないため、オンラインでのインタビュー実施などに切り替え、研究活動を継続する。オンラインでの調査環境を整えるため、物品の購入を進めていく。
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