研究課題/領域番号 |
19K14120
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
布川 あゆみ 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (80799114)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 就学義務 / オルタナティブな教育 / 通学 / オンライン学習 |
研究実績の概要 |
新型コロナウィルス感染症の拡がりによって、現地調査の実施が見込めないことから、本年度はオンライン上でできるインタビュー調査や情報収集などに重点をおいて、研究活動を進めた。またコロナ禍にあって、子どもの学び、とりわけコロナ禍以前より社会経済的に不利な状況に置かれていた子どもたちの学びが、どのように保障・継続されているのか、課題として何があがってくるのか、日本とドイツの比較の視点からアプローチすることを新たに取り組んだ。 日本で春先に実施された一斉休校は、同時期にドイツ全州においても実施され(2020年3月中旬以降)、子どもの学習意欲や学力の格差が改めて議論される契機となった。その後日本では分散登校を行いながら、学校が再開しているが、ドイツにおいては、感染者数(対人口比)に応じて学校閉鎖の措置が随時取られており、オンラインでの学習が長期化するなど、感染対策と教育へのアプローチの違いが日独間で鮮明になりつつある。従来の通学を前提とした教育以外の、オルタナティブな教育の保障が求められている。 コロナ禍以前は、学校への適応という切り口で移民の社会統合を論じる課題設定をとっていたが、コロナ禍にあっては、今あらためて、学校に通うこととは何か、公教育とは何か、社会に統合するとは何かが問われており、この問いに対する考察の一端は共著論文においてまとめることができた。 もともと本研究で抱いていた問題関心をコロナ禍の文脈におき、今後の研究を展開することがとても重要になることがみえた1年であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍にあり、現地に渡航しての調査が実施できないことから、文献調査やオンラインでのインタビュー調査や情報収集など、研究活動の展開はコロナ禍以前に比べると限定的であることは否めない。また本研究で対象とする社会経済的な不利な層の人々には、オンライン上で接点を持つことも難しく、実態がなかなか見えない。 しかしながら、オンラインツールの普及により、ドイツ側研究者との研究会やジョイントセミナーの開催はしやすく、この1年間で日独間の就学義務制度について議論する経験をかさねることができ、共著論文の発表という成果にもつながったことから、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍にあって、学校での教育活動にはさまざまな制限や制約がうまれている。「教授学校」として位置づいてきたドイツの学校に比べ、学校の守備範囲を広く位置づきてきた日本の学校はその影響がより大きいことがこれまでの文献レビューや調査から見えてきている。今後は、日本との比較という眼をより強くもち、コロナ禍における学校教育・公教育のあり方について、検討を重ねていきたい。 また、社会経済的不利な状況におかれた子どもが見えにくくなっている今、かれらがどのような困難や生きづらさを抱えているのか、できるだけ実態把握に努めたい。アプローチ方法については、学校関係者や支援団体などとの連携から、活路を見出していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の影響により、予定していた現地調査を実施できなかったため、翌年度の調査実施を目指し、次年度使用額が生じた。
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