研究課題/領域番号 |
19K14126
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山本 晃輔 大阪大学, 人間科学研究科, 講師 (30710222)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 移動と教育 / 日系ブラジル人 / グローバリゼーション / ブラジル日本移民 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本とブラジル、2国間でのインタビュー及びフィールド調査を行うことから、(1)「移動のなかで生活する」ことが、いかなるライフコースなのかを明らかにするとともに、(2)移民の世代間の地位達成を、「移動がリスクにならない」ケースから分析する。(3)そのうえで、今後増加が見込まれる「移動する外国人労働者」に対して、「移民と定住」だけではない、「移民と移動」を射程とする教育を検討することにある。 2019年度は、日本に再移動を行った若者・家族へのインタビューを2例。そしてブラジルのサンパウロ州・パラー州において5件のインタビューを実施した。またサンパウロの人文科学研究所や、サンパウロ人文科学研究所日本支部において、ブラジル日本移民研究者との研究交流を行った。 こうした調査を通じて、特に課題点の「移動がリスクにならない」ケースについての知見を固めた。移動がリスクにならないケースは、例えば高レベルな技術職などいわゆるグローバル人材を想定されている。他方で、日系ブラジル人の場合、日本で職業を変更しながら技術を蓄積し、ブラジルにおける選択肢を拡大するといった様子が見られた。また移動に際しては常に「うまく行かない場合」が織り込み済みであることもみえてきた。これらを人生における「選択肢」あるいは「チャンス」として前向きに捉えている事例も見受けられた。そうした調査結果は、移民労働者はリスクを親族関係や近親者・知友との関係を活用することで低減するだけでなく、「移動」の可能性そのものが、日系ブラジル人の生活の安定につながっていることを指し示す。ただし、それが移民労働者の階層の固定化につながっていることも検討すべきであり、今後はこうした課題について家族にフォーカスを当て調査をおこなう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は当初の予定通り、調査の基盤を確保するための関係づくりを重視した。インタビュー数を一定程度確保しながら、次年度以降の調査にむけた準備を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後はインタビュー対象者の協力のもと、家族インタビューにフォーカスをあて、調査を進行していく予定である。ただし、2019年度調査時においても新型コロナの影響は大きく、ブラジルにおける現地調査に制限が生じることも想定される。事態の推移を見守りつつ、国内調査に切り替えるなどの対応を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査費用の高騰(主に航空券)もあり予算確保に留意した結果、若干の余剰金が生じたため。
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