研究課題/領域番号 |
19K14128
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
Burkart K.I. 大分大学, 国際教育研究推進機構, 准教授 (40758025)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 量的データ収集 / 紙媒体のアンケート回収 |
研究実績の概要 |
令和元年度前期には科研費申請書の計画に従って、初年度の重回帰分析に必要な量的調査を行なった。予定していた3つの国立大学(金沢大学、大分大学、九州大学)の研究協力者に連絡を取り、紙媒体でアンケート調査の時期や手順などを打診した。学年暦や履修の関係上、金沢大学と大分大学でアンケート調査が可能であったため、各大学の研究協力者と綿密に連絡を取り、アンケートの実施計画及び回収方法を定め、集約目標数(各大学より150件)を目指して後期に実施した。前期の初めには学年で一斉に行う講義もあったようだが、本研究費採択から間も無く、前期に紙媒体のアンケートを回収することができなかったため、後期に集中した形となった。 金沢大学では1年生が必修とする英語の時間を使って学部を問わず、1年生全員を対象としてアンケートの配布ができた。また、教育学類の3年生からもデータを収集することができた。大分大学では教育学部の2年生からデータを収集できた。次年度に、残りの学年でアンケートを配布することについて両大学の研究協力者から前向きな回答を得ている。当初の目標としては各大学から150件程度のアンケートを回収するつもりであったが、予定していた3大学が2大学へと変更になったため、両大学から450件程度回収できればよいと考えている。現在も、ほぼその目標は達成できているが、上記の通り金沢大学からは3年生および1年生から、大分大学からは2年生からアンケートを回収しているので、学年や件数に隔たりがあるため、次年度の追加回収を行いたいと思っている。ただ、当初全く予期していなかった問題として、全世界にコロナウイルス感染拡大が認められ、日本の高等教育現場でも、通常通りの対面講義ができなくなってしまっている現状を踏まえ、紙媒体のアンケートではなく、Google Formを使用したオンラインアンケートに移行する準備を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
まずはアンケート調査を行うため、予定していた3つの国立大学(金沢大学、大分大学、九州大学)の研究協力者に連絡を取り、紙媒体でアンケート調査の時期や手順などを打診した。金沢大学と大分大学でアンケート調査が可能であったので両大学の研究協力者と綿密に連絡を取り、アンケートの実施計画及び回収方法を定め、集約目標数(各大学より150件)を目指して後期に実施した。 金沢大学では、教員養成系の大規模クラスで学年全体を通してアンケートが収集できたのは3年生のみ(111名中92名回答)で、2年、4年生は履修や学年暦の関係上、アンケートの配布ができなかったため、次年度前期の一斉講義に可能な限りアンケートを収集してもらえるよう、研究協力者に依頼した。ただ、1年生は必修の外国語教育系(英語)の講義(12クラス)でアンケートの配布が可能となり、11クラス分のアンケートを回収することに成功した。点在する教員養成系の学生を抽出することで、1年生の回答は回収できた。 大分大学でも同様に、大規模クラスで学年全体を通してアンケートが収集できたのは2年生のみであった。次年度の一斉講義でアンケートが収集してもらえるよう、研究協力者に依頼した。2年生は144名中133名分のアンケートを回収することができた。 初年度は各大学から150件程度のアンケートを収集する予定であったが、学年暦や履修の状況で計画通りに集めることができなかったので、次年度に研究協力者の支援を得て、回収予定である。またアンケートの量的目標は十分に満たしており、初年度の目標は達成していると言える。ただ、学年によって隔たりがあるので、次年度の追加回収ができればより豊富な情報をデータとして収集できる。ただ、コロナウイルス感染拡大の影響を受け、対面で紙媒体のアンケートを配布することが難しく、オンラインアンケートへ移行する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
まず、今年度はオンラインアンケートの準備を整え、各大学の研究協力者を通じて、該当学生へアンケートの配布を行う。このようにオンラインデータ収集にすれば、データ入力が自動入力となり、データ入力の時間や人件費が削減される。 しかしその反面、回収率が著しく悪化することが予想されるため、紙媒体とオンラインで収集したデータを2つのグループとし、著しい差異がないかを統計学的判断Homogeneity Test of Variance (Levene’s Test)を行い、差異がないと認められた場合は紙媒体のアンケートデータと同じように取り扱う。 計画には各大学から150件としていたため、オンラインで信憑性の高いデータが集まり次第、重回帰分析を行う。この分析で日本人の教員志望者の異文化における感受性と適応力の関係が明らかになる。つまり、異文化適応力を構成する要素(異文化に対する知識、自己覚知力、コミュニケーションスキル)のうちのどれが、日本人の教員志望者の異文化感受性の発達に最も強く影響を及ぼしているのかを追求することができる。 この重回帰分析を2014年米国フロリダ州で行なった重回帰分析と照らし合わせ、日米の比較分析を行う。またこれらの分析結果から、異文化適応力を構成する要素の深層構造を調べるために、インタビュープロトコルを作成する。同時に、日米の研究協力者に連絡を取り、各大学から5名程度のインタビュー参加者を募る準備を進める。 実際にインタビューができるのは早くて2020年末もしくは年度末ということになるが、コロナウイルス感染拡大を受け、出来るだけ先延ばしに計画をしていた方が無難であると考える。もし、実際に対面インタビューができなくなるということになるとZoomなど遠隔会議システムを使用したインタビューも視野に入れておく必要がある。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画として計上した費用の全額は見込まれないため、やりくりした結果、IBM SPSS 25 STATISTICS BASE(教育機関向け)やSurvey Monkeyの使用料など高額となりうるものは、できる限り代用を探して費用を削るよう努めた。旅費においても、2月に行われるはずだった学会がコロナウイルス感染拡大の影響を受けて、中止となったことや、当初3大学でデータ収集を行う計画が、2大学に変更になったことも、予算の減額支給に伴って縮小する形となっている。 生じている差額の使用計画については、量的データの収集にやや時間を要しているため、次年度にデータ収集作業が終わり次第、繰り越した予算で当初予算に計上したコンピュータとタブレットを購入する予定としている。また、旅費についても本年度に参加できなかった学会への参加に使用する予定である。
|