研究課題/領域番号 |
19K14131
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
牧野 智和 大妻女子大学, 人間関係学部, 准教授 (00508244)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学校建築 / アクターネットワーク理論 / 社会学 |
研究実績の概要 |
今年度は、学校建築に関する資料の収集・分析が進み、当初の予定以上の研究成果をおさめることができた。収集した資料は、戦後以降における(1)学校建築に関連する書籍・政府刊行物・博士論文277点、(2)学校建築を主題とする建築関連雑誌の特集89件、(3)その他学校建築に関連する先行研究、(4)資料(1)(2)に関連する建築学者・建築家の著作・論文という四種の資料である。これらの資料を分析し、(1)学校建築の量的整備を志向した戦前・戦後~1970年代、(2)オープンスペースを備えた学校が全国的に増えた1980年代、(3)より微細な「アクティビティを誘発する学校建築」が登場した1990年代中盤以降という展開を整理したうえで、社会学的な観点からそうした学校建築が各時期において、どのような主体化を志向する装置としてあったのかを検討した。 また、学校建築の見学については、1990年代以降の学校建築に大きな影響を与えた建築家グループ・シーラカンスの手がけた学校を見学し(福岡県・博多小学校、宮城県・迫桜高校)、資料において示されている学校建築の様態について、実際の空間構成を体感し、理解を深めることができた。さらに、近年の学校建築におけるポイントとなっている「アクティビティの誘発」は、学校建築以外の空間設計においてもみることができると考えられたため、公園や図書館、複合施設といった各種公共空間のフィールドワークも行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
「研究実績の概要」でも示したとおり、既にある程度進めていた資料の収集・整理が予定以上に進み、研究成果を発表する媒体の公刊時期に研究の進行がうまくかみ合ったため、予想していた以上の学術的成果を初年度において示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度以降における新資料に加え、当初は学校建築を手がけた人物へのインタビューや、そのコネクションを用いた学校のさらなる見学を考えていたが、コロナウイルスの感染拡大防止のため、学校見学は少なくとも今年度は困難である可能性が高い。そのため今年度は、学校建築の建築手法として近年注目を集めている参加型建築について、そのルーツや具体例の考察を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
学校建築に関する資料を既に一部収集していたことと、未収集の資料にかかった経費が予想よりも少なかったことによる。しかし、研究を進めていくなかで、学校建築の様態を分析するにあたっては、住宅やオフィス、公共空間といった他のビルディングタイプ/空間設計の様態と比較考量する必要性が認識されたため、次年度においてはこうした新たに必要となった資料の収集を中心に使用していく予定である。
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